BIGMAMA、TOTALFAT×Northern19とパンク勢が続く今日の前半戦、その締め括りとして登場するのがB-DASHだ。1997年結成。来年で結成から15年を迎える彼らだけあって、オープニングSE“GO GO B-DASH”に乗って登場した3人はいたってマイペース。「コンニチワ、B-DASHデス。1曲目“炎”」と、淡々といきなり暴発アンセムを投下する。その後も間髪入れずに“ホホイ”、ドラムのARASEの絶叫と共に突入した“愛するPOW”と、代表曲を連発していく。まるでその様は、付いてこないなら振り落とすようにも見えるし、試合巧者のツワモノならではで、1曲1曲ごとに今日の特別なステージを形作っていくようにも見える。
“愛するPOW”が終わったところでGONGONによるMC。内容は控えますが、相変わらずくだらなくて、脱力系の内容がサイコー。イントロを間違えてGONGONが苦笑していた“ハーコー”、極太なベースラインが炸裂する“忍者行進曲”と、鍛え抜かれた音がさらにテンションを上げていく。そう、B-DASHは、MCなんかを初めとする佇まい同様、その音もまったくブレないからすごい。というわけで、その最新到達地点として、年末の『COUNTDOWN JAPAN 10/11』でも披露された、まだ名前のない“新曲11”といった楽曲も披露。そこに“平和島”まで畳み掛け、まるでバンドのキャリアを駆け足で見せるような、そんな展開だ。
そして、B-DASHの『JAPAN JAM 2011』一人目のゲストが登場する。自身でレーベルも運営するラッパー/トラックメイカー、ROCK DOGG。GONGON曰く「メンバー3人とも大森に住んでいるんですけど、その地元の友達で、ラッパーをやっています」とのこと。相変わらずGONGONのトークはグダグダで一瞬不安になるのだが、“Water Pow”で最初の一音が流れ出した瞬間にビビる。B-DASHの楽曲がいわゆるパンクだけでなく、ミクスチャー/ハードコアまで貪欲に取り込んだものであるのはもちろんだが、そこにROCK DOGGのラップが乗ると、格段に奥行きが生まれるのだ。その印象はROCK DOGGが活動するハードコア・バンド、DOGG BONEの楽曲“M.T.N.”でも変わらない。さっきも書いた通り、まったくブレない彼らのキャリアなのだけど、ROCK DOGGの存在によって新たな肉体を獲得してしまったような驚きがある。
2人目のゲストとして登場したのは、ex.↑THE HIGH-LOWS↓の白井幹夫。そして、いきなり演奏する曲が、白井幹夫がサポートを務めていたザ・ブルーハーツの大名曲“青空”という、この展開には驚いた人も多いのではないか。中学生の時からザ・ブルーハーツのライブ・ビデオで白井幹夫の姿を見ていたというGONGON。まさに彼にとっては夢のようなコラボだったのではないか。当の白井さんはステージに出てくるなり下ネタを連発する、そんな人なのだが。かつて白井幹夫にレコーディングに参加してもらい、ライブでは一度もやったことがないというB-DASHの楽曲“なんでやねん”も披露し、さらに“青空”を超える反則技が“TRAIN-TRAIN”。白井幹夫があのピアノの旋律を弾き出し、GON GONが歌をトチるという場面もありつつ、ROCK DOGGも再び加わって、もちろん会場中が大合唱。一気に会場のテンションが上がる。5人で『JAPAN JAM』のために用意したというジャムで作った新曲“JAPAN JAM”も披露し、最後は5人のスペシャル・バージョンの“ちょ”で締め。とっちらかっているのだけど、結局やりたい放題をやって、特別なステージにしてしまう彼ららしいパフォーマンスだった。(古川琢也)
◆B-DASH
ゲスト・アーティスト:白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓) / ROCK DOGG
ゲスト・アーティスト:白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓) / ROCK DOGG
1 炎
2 ホホイ
3 愛するPOW
4 ハーコー
5 忍者行進曲
6 新曲11
7 平和島
8 Water Pow w/ROCK DOGG
9 M.T.N. w/ROCK DOGG
10 青空 w/白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓)
11 なんでやねん w/白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓)
12 TRAIN-TRAIN w/白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓)、ROCK DOGG
13 JAPAN JAM w/白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓)、ROCK DOGG
14 ちょ w/白井幹夫(ex.↑THE HIGH-LOWS↓)、ROCK DOGG