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今回の『JAPAN JAM』、一番最後に発表されたラインナップにして、最大の変化球――いや、もはや魔球というべき組み合わせ、SOIL&“PIMP”SESSIONSと電撃ネットワーク。いい音楽が生まれる瞬間が見たいという、このフェスの期待値の斜め上をいく「事件」の予感を漂わせる会場に、荘厳な映画音楽のようなSEが響いて、まずはホストのSOILメンバーが入場! 「拳を突き上げろー! 付いて来いよ!」と社長が拡声器で叫んで1曲目は“One Step Beyond”! 元晴のサックスとタブゾンビのトランペットがフレーズの激しい応酬を繰り広げると、会場は早くもヒートアップしていっせいに踊り始める。続く“Fuller Love”は優しいキーボードの調べの上で、サックスが息の限りの渾身のフレーズを連発し、ノスタルジーとパンクな暴力性を見事に調和させていく。優しく和やかだった丈青のキーボードも、やがて感情のすべてを注いだカオスへと突き進んで、10分近くのセッションに観客は拳を突きあげて応える。ステージ左右で腰を振りながらリフを吹きまくるタブゾンビと元晴。みどりんのソウルフルなドラムソロを社長がアジテーションで煽ると、観客の叫びがそのリズムをなぞっていく。すでにフロアはヒートアップ完了、しかしまだ足りないと言わんばかりに“SAHARA”~“Fantastic Planet”のメドレーが、会場のさらなる一体感を煽っていった。トランペットとサックスのメロディに合わせて「ラララーララー」の合唱を繰り返して、続く“POP KORN”の跳ねるようなビートの中、ハンドクラップを煽った社長がついにあの男たちを呼び込んだ。「プリーズウェルカム! 電撃ネットワーク!」





オレンジのツナギに身を包んだ4人の男たちが、「オイ!オイ!」のコールの中でステージに揃った。一緒に運び込まれた机の上には、様々な装置らしきものが乗っている。その後はSOILのメンバーの演奏をバックに、驚愕のパフォーマンスが連発される。手始めとばかりにダンナ小柳がドライアイスと水を口に入れて鼻から白煙を出す「ドライアイス大好き男」。そしてギュウゾウが鍋いっぱいの溶けたロウに顔面を突っ込む「ワックスマン」。リーダーの南部虎弾は、おでこに中身の入ったビール缶を吸着させてジョッキに注ぐ。そして、衝撃と爆笑に包まれる観客の前で、事態はさらにディープなことになっていく。これはセッションであるから、当然SOILのメンバーも電撃ネットワークのパフォーマンスに挑むのである。元晴はギュウゾウと、頭を叩いて口から音を出す「人間打楽器」のセッションで“ハッピーバースデー”を演奏、社長はグラインダーで金属の火花からタバコに火をつける「火花大好きサンダー野郎」に挑戦。さらに丈青は、メントスを入れて吹き上がったコーラを脚立の上で飲み続けるという無茶なセッションに見事勝利してみせたのだった。




あまりにデンジャラスなパフォーマンスに会場がどよめく中、電撃ネットワークの勢いは止まらなかった。リーダー南部虎弾の「尻ダーツ男」「千円札を耳にホチキス」「一万円札をおでこにホチキス」、そして鼻から入れた牛乳を目から噴出させる「愛の戦士ミルクマン」、さらに口元めがけてロケット花火をスパークさせる「人間ロケット花火」と、凶悪な持ちネタをすべて成功させると、ライブはいよいよ終盤へ。ラストはトランペットとサックスにグラインダーからの火花を浴びせながら、SOILのライブでは殺傷力抜群の“SATSURIKUニューウェイブ”! 電撃ネットワークのメンバーは社長と一緒に叫んで激しくアジテーションし、最後はトイレットペーパーのロールを紙テープよろしく豪快に風で吹き上げてみせた。「日本バンザーイ! ディス・イズ電撃デスジャズ!」と社長が宣言して、これぞ堂々の大団円。この圧倒的なインパクトは、『JAPAN JAM』の新たなる伝説として、間違いなく語り継がれるだろう。(松村耕太朗)

◆SOIL&“PIMP”SESSIONS
ゲスト・アーティスト:電撃ネットワーク

1 One Step Beyond
2 Fuller Love
3・4 SAHARA~Fantastic Planet(メドレー)
5 POP KORN w/ 電撃ネットワーク
6 SATSURIKUニューウェイブ w/ 電撃ネットワーク