メニュー


the telephonesのDISCO空間の次に登場するのは、ロックンロール・パーティ集団、THE BAWDIES。本人たち自ら登場してのリハーサルで会場を沸かせた後、しきり直して、いよいよ本番。お馴染み、サム&デイヴの“Soul Man”に乗って登場。1曲目の“IT'S TOO LATE”からロックンロールの“芯”の部分を叩きつけていく。ロールするグルーヴ、聴くと電気の走るような声、緩急をつけたバンド・サウンド。ロックンロールが生まれてから50年以上、誰もが追い続けた神秘をこのバンドも追い続けている。「皆さん、楽しんでますか? さらけだすまで楽しんでますか? だったら心のパンティ脱ぎ捨てましょうか?」というROYのMCで突入したのは“EMOTION POTION”。そしてROYいわく「心のブラジャーもはずしてやりましょうか」と畳み掛けるのは、“YOU GOTTA DANCE”。バンドの合図に従って、会場全体が大きく縦に飛び跳ねる。シンプル極まりないロックンロール、けれど、それがこの現代にも変わらず通じることの証明のようなバンドだ。そして、TAXMANがメイン・ボーカルを務めた“B.P.B.”でも4人はまったく恐れることなく、その道を突き進んでいく。

MARCYが最近ハマッているという3DS版『戦國無双』の話で会場に笑いを巻き起こした後、次に演奏されたのは"JUST BE COOL”。もうフロアはクールなんてものとは程遠い状態になっている。“KEEP ON ROCKIN’”では会場全体を包むコール&レスポンスとハンドクラップの波を巻き起こし、極めつけは"HOT DOG”。「みなさん、お待ちかねのゲストを呼ぶ前に腹ごしらえはどうですか?」というROYのMCから、イキのいいギター・リフが会場を先導していく。もうこの頃には、THE BAWDIESが『JAPAN JAM』の会場を完全に掌握している状態だ。



しかし、ここからこそが『JAPAN JAM』の真骨頂。ROYがベースを降ろしてハンドマイクになり(なんと新鮮な光景!)、まず紹介されたのはOKAMOTO'Sよりハマ・オカモト。THE BAWDIESとOKAMOTO'Sは、なんと学校の先輩と後輩だそうで、その縁もあって今回呼ばれたそう。そして、更に呼び込まれたのは、東京スカパラダイスオーケストラよりNARGO、北原雅彦、GAMO、谷中敦というホーン・セクションのメンバー。ステージにその9人が揃った時点ですでに壮観。そして、『LOVE YOU NEED YOU feat. AI』のシングルにも収録されていた"WHAT YOU SAY”から9人によるセッションが始まったのだが、もう音の厚さがハンパではない。ロックンロールの芯を捉えたTHE BAWDIESのサウンドに、百戦錬磨のホーン隊によって豊穣な煌めきが追加されていく。そして、圧巻だったのはウィルソン・ピケットのカヴァー“Land Of Thousand Dances”。コーラスを聴けば誰もが知るこのナンバーが、ロックンロール・バンドという枠組も超えたところで、ただの音楽としか呼びようのない形で結実するような体験。TAXMANも言っていた通り、まさにメンバー自身も外で見ていたいと思っていたはずだ。



そして、ついにである。「ロックンロールを超えて、ソウル・ミュージックを伝えにきました」というROYの紹介でスカパラのホーン隊と入れ替わるように登場したのは、トータス松本! 演奏するのは、こちらもウィルソン・ピケットで有名な“Mustang Sally”。しかし、こうやって正面を切ってソウルのクラシックを歌ったときのトータス松本のすごさといったら。ソウル・ミュージックが自身の内面やキャラクターにまで根付いているのが伝わってくる。「サイコー! サイコー!!」とトータス松本もTHE BAWDIESの面々を絶賛。緊張のあまりだろうか、ROYが「マラカス」を「マスカラ」と間違えるハプニングもありつつ、トータス松本との2曲目はTHE RASCALSの“Good Lovin'”のカバー。この曲の幸福なヴァイヴが会場を包んでいく。第一、THE BAWDIESの4人が本当にこのセッションを楽しんでいるのが分かる。最後の最後は、再びスカパラからNARGO、北原雅彦、GAMO、谷中敦の4人が加わって、総勢10人によるサム&デイヴの“Soul Man”。そう、THE BAWDIESのライブのオープニングでお馴染みのあの曲である。THE BAWDIESにとっては意思表明とも言えるこの曲、それがトータス松本や東京スカパラダイスオーケストラといった諸先輩やOKAMOTO'Sのハマ・オカモトのような後輩の力を借りて、ここに実現する。それは、恒例のTAXMANによるワッショイまで含めて、音楽を愛する者にとってあまりに幸せな光景だった。(古川琢也)
◆THE BAWDIES
ゲスト・アーティスト:トータス松本 / NARGO、北原雅彦、GAMO、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ) / ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

1 IT'S TOO LATE
2 EMOTION POTION
3 YOU GOTTA DANCE
4 B.P.B
5 JUST BE COOL
6 KEEP ON ROCKIN'
7 HOT DOG
8 WHAT YOU SAY w/ NARGO、北原雅彦、GAMO、
谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ) /
ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)
9 Land Of Thousand Dances w/ NARGO、北原雅彦、GAMO、
谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ) / ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)
10 Mustang Sally w/トータス松本 / ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)
11 Good Lovin' w/トータス松本 / ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)
12 Soul Man w/トータス松本 / NARGO、北原雅彦、GAMO、
谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ) / ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)