


と思っていると、ここで「そろそろ大学の先輩呼んでいいですか?」という呼びこみでケイタイモがステージに登場! ピースしながら軽やかな足取りでひとしきりダンスすると、“そのぬくもりに用がある”withケイタイモバージョンである。「座って演奏する」という、ビークル時代には考えられなかったスタイルでケイタイモが曲にゴージャスな彩りをプラスすると、山口はその後頭部にギターのネックをこすりつける暴挙で会場の空気をヒートアップさせていく。そして間奏部分で巻き起こった「元春!」コールで、ついに佐野元春、登場である! 下手から軽やかなステップで中央に立つと「すべてをなくした僕とすべてを許した君さ」と歌い上げた姿はまさに悶絶もののカッコよさだった!


そして「打ちのめされた俺たちを鼓舞してくれる曲です」と言って始まったのは“約束の橋”! 佐野元春と山口が交互にマイクをとりながら歌い、ケイタイモがかしこまった面持ちで鍵盤を叩き、かつてなくロックなアレンジで鳴らされた名曲は、佐野元春のロックの本能にいよいよ着火したように見えた。続けて演奏されたのはサンボの“できっこないを やらなくちゃ”、そして誰もが聴きたいと思った“サムデイ”だった! ケイタイモがあのイントロを奏でて、山口がいつになく丁寧に言葉をひとつひとつ歌う。そしてハンドマイクで動きながら渾身のパワーで歌う佐野元春。サンボと佐野元春がかつて2007年に対バンで新宿コマ劇場の舞台に立った時、共演に選ばれたのは“ヤング・フォーエバー”だった。今回改めてサンボからゲスト出演のオファーをして、それを佐野元春が受けたというのは、やはりこういうことだったのだと思う。つまり、もっともっと一緒にやれるスゴいことはあるはずだ、と。それがこういう形で実現したことが、本当に素晴らしかった。演奏が終わって出演者全員でお辞儀してステージを去ると、会場から盛大に「ロックンロール!」コールが巻き起こった。

アンコールで再びステージに現れたのはサンボの3人のみ。まず演奏されたのは、猪苗代湖ズとして発表されたチャリティ・ソング“I love you & I need you ふくしま”のサンボマスター・バージョン! 改めてサンボ3人の演奏で聴くと、ロックなポテンシャルもめちゃくちゃ高い曲である。そして何よりも、心から福島に捧げられた言葉が染みる。そしてラスト“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”で、会場の熱気は頂点に達した。「愛と平和」コールの重みが、これほどまっすぐに意識される機会はないだろう。3人が去っても、会場には名残惜しそうにハイタッチしたり、輪になったりする人々が残っていた。最高のライブでした。ありがとう!(松村耕太朗)
◆サンボマスター
ゲスト・アーティスト:佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
ゲスト・アーティスト:佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
1 世界をかえさせておくれよ
2 青春狂騒曲
3 美しき人間の日々
4 希望の道
5 光のロック
6 歌声よおこれ
7 そのぬくもりに用がある w/ 佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
8 約束の橋 w/ 佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
9 できっこないを やらなくちゃ w/ 佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
10 サムデイ w/ 佐野元春 / ケイタイモ(ex.BEAT CRUSADERS)
[ENCORE]
11 I love you & I need you ふくしま
12 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
