「ex.スーパーカー」という注釈はもう必要ないだろう。フルカワミキ、満を持してROCK IN JAPAN初参戦である。バンドメンバーにスーパーカーでバンドメイトだったナカコーとROVOの勝井祐二を従え、颯爽と登場した彼女。夏とか、暑いとか、そういう言葉はこの人の辞書にないのか、というくらい涼しげな表情である。しかしパフォーマンスはしっかり熱い。昨年末のCOUNTDOWN JAPANのときよりも、ステージから放射される熱量があきらかに大きくなっている。そう、思いっきり「ロック・バンド」なのだ。昨年リリースされたソロ・デビュー・アルバム『Mirrors』は彼女自身の表現者としての本能/冒険心と、ポップ・ミュージックとしての機能性の高さが奇跡的なバランスで共存した作品だったが、いまのフルカワミキはそれをもう一段レベルアップさせ、肉体性をもった「生」の音楽として提示しようとしている。おそらくそこにはナカコーというよき理解者の存在も大きく関与してはいるのだろうが、彼女の意識の変化もあるのではないか。“Coffee & Singing Girl”や“サイコアメリカ”も、1年前とはまったく違うものとして響いてきた。(小川智宏)
フルカワミキ のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ