SEASIDE STAGE2番手は、10代限定フェス『閃光ライオット』で昨年見事グランプリを獲得した札幌発3ピースの精鋭=THE★米騒動! 無音状態のSEASIDE STAGEに現れた石田愛美/沖田笙子/坂本タイキの3人、気合い一閃“Border”の怒濤のノイズとカオスとロックンロールでSEASIDE STAGEを圧倒! ささくれた焦燥感そのもののようなギターのコード感。誰もが心の奥底に隠してある危険な衝動をいちいち突き上げていくような石田のヴォーカリゼーション……バンドの評判を聞いて集まったオーディエンスを一気にロックンロール異次元へと導いてしまうパワーには感激を通り越して愕然とする。《どうでもいい芸術に どうでもいい時間を割いて 「どうでもいいからね」と2%に懸けてみる》という挑戦的なフレーズを何度もぶち上げてみせる“俗物美術展覧会”ではサイケもプログレも血肉化しまくって地獄の底へ転がっていくような不穏なスピード感を醸し出しているし、ドラム・坂本の悲鳴のようなスクリームで幕を開ける“ファンタジック柵の前”ではハードコアとブルースを秒速スイッチングするようなスリリングな展開で聴く者すべての理性と時間感覚のタガを外してみせる。さらにそのまま切れ間なく“祝女”のハード・ファンクmeetsヒップホップ的な音像へ雪崩れ込んで、エクストリームな切迫感をいやが上にも煽っていく。誰もが舌を巻く切れ味とダイナミクスを兼ね備えたプレイアビリティを、世の中にあふれる違和感や割り切れなさに対する攻撃衝動を形にすることに迷いなく注ぎ込みながら、そこに地下集会的アングラ感をまるでまとわりつかせることなく、万人一撃必殺のロックンロールの強度に昇華してしまう、とんでもない存在である。石田のエフェクト・ノイズが鼓膜を震わす中、タイトに走り出す坂本のキック……“ブラック・ダンス・ホール”で最後にオーディエンスの心と身体をびりびり震わせて終了! 「ありがとう!」という坂本の絶叫が、10代の若き猛者の凱歌のように高らかに響いた。(高橋智樹)
THE★米騒動 のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ