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正午を過ぎて、いよいよ強さを増す日差しの下、SEASIDE STAGEのセカンド・バッターとして立つのは去年デビューしたばかりのルーキー4人組、Hemenway(ヘメンウェイ)だ。メンバー全員が米国のバークリー音楽大学出身で、フロントマンのIsaacとギタリストのCharmが韓国系アメリカ人という異色の経歴を持つ彼らだが、ごく自然体でステージに現れると、ベーシストのOgachingとCharmがゴツンと拳を合わせて「いくぜー!」というIsaacのシャウトで1曲目”バイマイサイド”がスタート。ドラマーのToshiとOgachingのリズム隊ふたりが支えるビートの上で、Isaacの優しく響くファルセットとCharmの切なくかき鳴らすギターソロがいきなりグッとくる。そして何よりメロディがキャッチーで美しいのが彼らの最大の武器だ。手拍子とコーラスで観客を巻き込みながら、Charmのライトハンド奏法がうなりまくった2曲目”フューチャー考察”を経て、MCでIsaacがバンドの自己紹介を流暢な日本語で披露すると、ステージの一体感がどんどん強まっていくのがわかる。そして、彼らのバックグラウンドの多面性が自然に開かれていくように、次はアルペジオから英語詞で切なく歌い上げる曲“Not About”へ。気持ちを絞りだすように、Isaacの声がさっきまでとは違って響き、それを煽るようにCharmもテクよりエモーションを燃やすリフでアンサンブルを作っていく。……と思ったら、曲のラストで我慢の限界とばかりに彼のギター・テク披露コーナーへと突入(笑)。なぜかファミコンのスーパーマリオ1面(BGM+マリオの操作音)まで飛び出すあたり、こういうキャラのせめぎ合いこそが彼らの本当の面白さなのだろう。と、ここからラスト3曲はさらに雰囲気を一転して、ロックンロールな衝動が爆発。”Escape”の骨太なメロディでは観客の拳が突き上がり、歌もリフも、ビシビシと叩きつけるようにその熱量が上がっていく。続く”あのさ”では汗だくで歌うIsaacの横でCharmが速弾きからの「歯」弾きを披露、そしてラスト“Listen”ではToshiの高速ビートが炸裂するイントロから、全員テンションMAXの演奏で突き進み、まさに完全燃焼のフィニッシュを決めてみせたのだった。メンバー同士のパワーをぶつけあいながら、それを新しい「日本のロック」として一歩先へ進めようとする衝動と愛情がほとばしった、とても清々しいステージだった!(松村耕太朗)