『レ・ミゼラブル』はミュージカル映画として初、全編口パクなしのライブ録音に挑戦。鳥肌ものの舞台裏映像公開


『レ・ミゼラブル』の映画化……監督は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を圧勝したトム・フーパーだし、今のハリウッドの保守化を象徴しているようで、あまりに好きになりたくない映画なのだけど、現時点ではどう抵抗しようとも、拒否できないようなパワーを持った映画に完成していそうな予感大である。

先日、舞台裏の映像が公開になったのだけど、出演者のヒュー・ジャックマン、アン・ハサウェイ、ラッセル・クロウなどがその中で語っているのは、この映画はミュージカルとして初めて、出演者達が全曲口パクではなくてライブで歌をレコーディングした作品であるということ。それがいかに難しい挑戦であり、しかし、そのおかげでパフォーマンスをどれだけ良いものになったか、ということ。

映像こちら。

この中で、『マリリン7日間の恋』に出ていたエディ・レッドメインが良いことを言っているのだけど、普通ミュージカル映画を作る時は、共演者に合うずっと前に歌だけレコーディングしてしまい、実際現場に入ったらそれに合わせた演技をしなくてはいけなくなる。だから、演技が限定されてしまうということ。だから、ライブ録音だととにかく演技が自由にできるということ。また、アン・ハサウェイが、これまで何度も聞いて来た名曲を歌う場面があるけど、彼女の声にか弱さがあって、そのせいで、生まれて初めてこの曲の歌詞に聞き入ってしまい、まったく新鮮な気持ちでこの曲を聞けたと語っている。

逆に言えば、こういう方法を取り入れることこそが、これまで世界で上演されてきたこのミュージカルを映画化し、人に新たな感動を与えられる唯一の方法だったのかもしれない。

各俳優はイヤホンを付けていて、彼らが歌うテンポに合わせてピアノの伴奏がその場で付けられるのだそう。つまり、俳優達はそのピアノの音もライブで聞けるので、演技により感情が込められると。完成版では、そのピアノがオーケストラ演奏になるということ。保守的なんて言葉を蹴散らす、監督と出演者達の果敢な挑戦には脱帽だ。

予告編をちょっと見ただけでも鳥肌ものなので、完成した映画を見るのが今から怖い。

ティーザーはこちら。

日本公開は12月28日のようです。
http://www.lesmiserables-movie.jp/
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