現在発売中のロッキング・オン10月号では、ザ・スマッシング・パンプキンズのインタビューを掲載!
以下、本インタビューより一部抜粋。
「ファンから『なぜその魔法を壊したんだ?』と問い詰められた。僕は『また新しい彼女を見つければいい』くらいに思っていた。でも今は、別のメンバーではパンプキンズの魔法を再現できない、と理解している」
●こんにちは。お元気ですか?
「元気だよ(笑)」
●ブラック・サバスの”Back to the Beginning”に出演しましたが、いかがでしたか?
「最高だったよ。信じられないくらいにね。まさに3日間の大イベントだった。パフォーマーとしては、2日間リハーサルして、3日目が本番だったんだけど。そのリハーサルの段階でも、素晴らしい体験がたくさんあってさ。みんなが練習してるのを見たり、冗談言い合ったり、のんびり過ごしてるのを見たりして、すごく仲間意識があったんだ。それで、本番の2日前くらいの夜に、僕ともう一人のミュージシャンのたった2人で、それ以外は誰もいないアリーナでサバスのサウンドチェックを見てたんだ」
●それはすごいですね。
「だろ。それで、オジーも出てきて、たしか1曲歌って帰ったんだ。でも、そこから僕らは45分くらいサバスのサウンドチェックを見てたんだ。オリジナルのサバスがただ音を鳴らしてる。しかも、オジーと一緒にはやらなかった曲も何曲か演ってたんだよ。たぶん“黒い安息日”だったかな、他にも何曲か演奏してたと思う。だから、もう本当に最高だった……。まるで、ものすごく贅沢なプレゼントをもらったみたいな気分だったんだ。本当に」
●子どもの頃の夢が、というか夢にすら思っていなかったようなことが起きたわけですよね。
「子どもの頃に大好きだった音楽が、50年経った今もなお大切なものであり続けてるっていうだけでも、すごいことだよね。そして今、それを自分の世代だけじゃなく、もっと若い世代と一緒に祝えるっていうのがまた特別なんだ。ゴーストがいて、ヤングブラットがいて、リジー・ヘイル(ヘイルストーム)がいてね。今の若い世代も一緒になって祝ってくれてる。
だから思うんだよね……『うわ、僕が信じ続けてきたことを、他の人たちも信じてくれてるんだ』って。僕たちが愛してきたものには、力があって、意味があるんだよ。このイベントは特別なものになるって、最初から分かってたし、前の日に『もしかしたらこれは史上最高の一日になるかも』って言っていたくらいだった。そしたら当日、みんなが本当に信じられないくらい素晴らしい演奏をしてくれたんだよ。まるで魔法みたいな一日で、本当に信じられなかったよ。しかも自分もそこに参加して、それは現実だった。本当に最高の瞬間だったよ」
●ロックの初期衝動を再体験するようなイベントに参加して、何か感じたことはありましたか? ザ・スマッシング・パンプキンズは、激動の時代を経て、今、再結成してから軌道に乗っているところです。同世代のバンドで言えば、オアシスが大成功しているかと思えば、一方でジェーンズ・アディクションなどは泥沼化しています。
「ザ・スマッシング・パンプキンズというバンドにとって一番大きな課題は僕が何度も内部で言ってきたことなんだけど……『新しい音楽を作り続けないのであれば、俺はこのバンドを続けない』ってことなんだ。でもね、この考えを信じ続けてもらうのはどんどん難しくなってるんだよ。だってライブをやれば、観客のほとんどは昔の有名な曲を聴きたがるからさ。
だから『新しい音楽を作ることに意味がある』っていう信念を保つのが、年々チャレンジになってきてるんだ。このバンドがあと20年続けられるかどうかは、今の音楽業界を見ればもう証明されているんだ。名前があって、知られた代表曲があれば、それだけでずっとツアーはできる。しかも、多くのファンは新しい音楽を作ってるかどうかなんて、ほとんど気にしてなかったりするからね。だから僕としては、うーん、言いたいことをうまく言葉にするのは難しいんだけど……。
グレイテストヒッツ的なビジネスというのは、ベビーブーマー世代のためのものだと思うんだ。だけど、その次に続く世代は、オアシスとか、パンプキンズとか、パルプでも、スウェードでも、多くの偉大なバンドたちに今後求められるのは、『新しい音楽を作り続けること』だと思う。もちろん、少数派の考え方だというのは分かってる。でも思うに、50歳を過ぎたあとのロックンロールの新しい形って、『音楽的に今もなお意味のある存在であり続けなきゃいけない』ってことなんだよ。
これは僕の持論なんだけど、60〜70年代に偉大な音楽を作っていたバンドたちは、自分たちがこんな年齢になってまで演奏してるなんて、当時は想像すらしてなかったはずなんだ。彼ら自身もみんなそう言ってるよね。だけど、今の僕たちの世代はみんなすでに知ってるわけだ……望むなら、年を取ってもずっと演奏し続けられること。でも、僕たちはベビーブーマーたちが作ったルールとは違うルールを作らなきゃいけないんだ。ベビーブーマー世代が音楽的に世界に与えた最大の贈り物は、戦後の恐れや不安を、不動の独立精神……つまりロックンロールと呼ばれるものに変換したことだ。だよね?
レッド・ツェッペリンの“天国への階段”にしても、ブラック・サバスの“パラノイド”にしても。彼らは、文化の潮流を一変させてしまうような楽曲を生み出したんだよ。しかも、それらは文化の語り口を永遠に変えてしまった。僕たちはそんな世界の中で育ってきた。つまり、僕たちが知ってる現実って、彼らが作ったバージョンなんだ」
(以下、本誌記事へ続く)
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