今、20代の若手バンドが新しい音楽シーンを形作っている。そんな数多くのバンドの中で、
おいしくるメロンパンは特異なポジションにいる。写真で見るバンドの姿形は普通のバンドとなんら変わらないが、その楽曲を聴いても、フェスなどでそのステージを観ても、同じ20代のバンドでありながら今のバンドシーンの主流とは完全に一線を画した孤高の存在であることがわかる。彼らのライブには熱いMCやコールアンドレスポンスはなく、彼らの歌には日常や恋愛に根ざした共感性はない。おいしくるの音楽には音楽そのものの美しさがあり、それを受け取った僕らの心の中には共感を超えた衝撃と感動が生まれる。
ではそもそもおいしくるメロンパンが作り出す「世界」の根幹にあるものはなんなのか。あの、ファンタジーよりも儚くもあり現実よりもリアルに感じるおいしくるメロンパンの音楽の世界の根源はなんなのか。
作詞・作曲・ボーカルのナカシマの生い立ちから現在までの半生を訊く2万字インタビューで、ついにそこを解き明かしたいと思う。(山崎洋一郎)
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