去る6月9日、長年の闘病の末、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのスライ・ストーンが亡くなった。ほぼ同時期に同じ82歳で逝去したブライアン・ウィルソンと共に、60年代のポップ・ミュージックの……ということはその後すべてのポップミュージックの原型を作った偉人ふたりが相次いで退場したのは、大きな時代の節目を感じさせる象徴的な出来事だった。
rockin’on8月号では、そんなスライ・ストーンの功績をインタビューと、私が執筆した長文論考で振り返っている。特に初の自伝を上梓した2023年に行われたインタビューは、ドラッグと病気による体調悪化と経済的困窮などで再起不能と思われていた時期だけに貴重なものだ。そこでの発言は、彼のマインドとスピリットが、あのウッドストックの歴史的パフォーマンスのころから少しも変わっていないと感じさせるものだった。
論考はなるべく通り一遍のバイオグラフィの列記や個人的なお気持ち表明ではなく、彼の生き方や表現原理の核心に迫るようなつもりで書いた。ぜひ手に取って読んでいただければ幸いだ。(小野島大)
スライ・ストーンの記事が掲載されるロッキング・オン8月号