新しい声とともに、孤高のシンガーが再始動

吉井和哉『甘い吐息を震わせて』
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6月にTHE YELLOW MONKEYのライブで目撃した吉井和哉は、本当に歌うのが楽しそうだった。病を経て、思うように歌えない期間があったからこそ、心から自分の今の歌声を大事にしているようにも見えた。セルフアンコールツアーまで行い、少しでも長く歌っていたいという切なる気持ちが伝わってきていた中、ついにソロ・吉井和哉が再始動。ひとりで歩き始めてから22年、THE YELLOW MONKEYという居場所を取り戻した彼が何を歌うのか。期待を募らせて新曲を再生すると、そこにはカリスマ的なロッカーではなく、背徳的な孤高のシンガーが立っていた。《私ならここにいるよ》と吐息まじりに歌い、その色香をパーカッションとホーンの音色がさらに掻き立てる極上の歌謡曲。ソロではロックもファンクもブルースも幅広いジャンルを歌ってきたが、改めてこれぞ吉井和哉と言いたくなる1曲だ。より鋭い目線で生死を見据えるようになった彼の《与えられた命をあなたとシェアしたい》という言葉が甘くて苦い。(後藤寛子)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)


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