パーカッションとギターで優しげなフレーズが奏でられると、自然と手拍子が起こる。そこに穏やかな表情をしたCaravan登場。ゆっくりとギターを持ち、ハープを吹き始める。“Rainman”だ。穏やかなギターの調べにじっと聴き入る観客。これまでのアクトとはまったく違ったベクトルだがその音が静かにみんなの心を掴んでいく。続く“Feed Back”は、いいメロディとシンプルなサウンドという、Caravanの魅力が最大限に発揮された楽曲。ミニマルなアレンジでありながら、単なるフォークともブルースとも違う肉体的でアクティヴなグルーヴに、身体は自然と動き出す。気が付くと、フロア全体が右に左に揺れている。その瞬間が、本当に気持ちいいのだ。Caravanの名前を一躍知らしめた“ハミングバード”、ヒップホップ経由のうねるグルーヴに身も心も鷲掴みにされるような“Music Save My Life”、そして大合唱が巻き起こった“Camp”、どの曲もとてつもない音楽的完成度を誇りながら、同時にみんなの中にすっと入ってくる人懐っこさがある。ここまでシンプルで、分かりやすくて、そのくせ密度もスキルも高く、そして何より温かい。こんな音楽はほかにない。ラストのその名も“Simple”を聴きながら、そう思った。(小川智宏)
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