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前半の20分と後半の20分で、まるで別のバンドのような変貌を感じたメレンゲのステージだった。冒頭の“カメレオン”“メモリーマン”といったナンバーは、ハイトーンのキーボードと清涼感溢れるギターの並走がシンフォニックでありつつも、同時にどこか儚く響くものだった。真っ白なキャンバスに淡い色をいくら重ねてもその漠然とした印象は変わらないように、彼ら5人のアンサンブルもまた、どこか夢見心地で非現実的なそれだったのだ。しかし、ちょうど折り返し地点で鳴らされた最新シングル“underworld”で、今日のメレンゲは一気に覚醒した。レイヤーと揺らぎのバリエーションで聞かせていたギターのフォーカスが瞬く間に合っていく。クボケンジの放つ言葉がいきなりクリアになる。そして力強いドラミングに導かれるようにして5人の音が醒め、血が激しく通っていくのを感じて猛烈に興奮してしまった。続く“輝く蛍の輪”、そしてラストの“ユキノミチ”はさらに圧巻。どちらが彼らの本質なのか私には分からないけれど、底知れぬ可能性を嗅ぎ取ることができたステージだった。(粉川しの)