ゾクゾク、怖い。シングル“証明”でスタートしたこの日のシギだが、コーラスに辿り着いたのは、アコギを抱えて彼女がステージに現れてからわずか２分。そしてわずか２分で彼女の悲痛な叫びは会場を凍りつかせた。弾き語りでいながら、ENZWECKなどアングラな激情ハードコア・バンドとの親交が深い稀有なシンガーソングライターのシギ。今年“激情ちゃん”というコピーでデビューした彼女だが、その生の歌声は想像をはるかに超えるほど必死で、ギリギリで、心に沁みまくる。今年デビューしたばかりで、今回がフェス初登場ということで、馴染みのないオーディエンスも少なくはなかったと思うけど、思わず目を覆いたくなるほど彼女のリアルな痛みが露呈されたパフォーマンスは深く印象に残ったはず。支離滅裂とした、でも彼女が音楽という不確実なものに託したピュアな思いが語られたMCも含め、とてつもないアーティストの到来を告げた強烈なライヴだった。（内田亮）