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ノイジーなエレクトロニック・サウンドにまみれつつ、ニュー・ウェイヴ/ポスト・パンク形のサウンドをモダナイズして放つロック・バンド、PILLS EMPIREがCOSMO STAGEに登場だ。まるで最初からリミッターがセットされていないかのような、どこまでも上昇線を描いてゆく不穏で焦燥感が宿った爆音が届けられる。11月にリリースされたばかりのアルバム『MIRRORED FLAG』からのナンバーが繰り出されてゆくが、「形式としてのニュー・ウェイヴ」というよりも「衝撃力・殺傷力としてのニュー・ウェイヴ」の思想が正しく継承されているという感じである。ギラついた大音量のノイズの中からも突き抜けてくるNaoya Shimomoto(Vo.,B.)の不敵なヴォーカルが印象的だ。しかしそんなダークな側面だけではなくて、フロアのオーディエンスが腕を突きかざしながらタテに弾けるダンサブルなロックを一貫してキープするというところも、このPILLS EMPIREの既に確立されたスタイルである。「今年いっぱい人が死んだけどさ、来年はもっと死ぬかも知れない。君が明日死ぬかもしれないし、俺は今日死ぬかもしれない。だから今をもっと歌って、踊って、楽しんでさ!一人でいたってつまんねえよ。今、ちょっとでもいいから、隣にいる人の顔を見ろよ」。明らかに他のアクトとは違う一種異様なトーンだが、そんなShimomotoの強いメッセージも、見事に彼らの音楽性とフィットしているように思われるステージであった。(小池宏和)