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2本のギター、ベース、ドラム、キーボードに加えて、3人のホーン・セクションも率いた編成で登場した溝渕 文。リハーサルの終盤に一瞬全開で歌った瞬間があったのだが、圧倒的な歌声にびっくり! そして、すぐに始まった本番。華やかなホーンに彩られたサウンドが鳴り響き、スタートした1曲目は“傷跡”。スラリとしたシルエットを艶やかに揺らし、ソウルフルな歌声を届ける溝渕 文は、存在感満点の歌姫であった。「ありがとうございます」という短い挨拶を経て2曲目“足音”へ。フルートの優しい調べを時折交えながら、歌声が伸びやかに響き渡って行く。パンチの利いたソウルフルさと、柔らかなトーンを兼ね備えた彼女の歌声は本当に贅沢!
「こんにちは! 聴きにきてくれてめっちゃうれしい! 伝わってますか、この嬉しさ?今日は歌を伝えたいと思っているので、みなさんよろしくお願いします!」。明るいキャラクターが窺われるMCを経て3曲目“Empty Room”。ジャジーなサウンドに彩られながら、小悪魔的なトーンで歌い上げていく。彼女の歌声は、MOON STAGEの外にも抜群な輝度で響いていたのだろう。新しいお客さんが次々とフロアを埋めていった。ピアニカ、パーカッションを交えた素朴なサウンドに包まれ、一心に歌い上げる彼女の姿に、お客さんがすっかり惹き込まれていた“Loophole”の後、ふと嬉しそうに笑った彼女。そして、ホーン・セクションの明るい躍動感が冴えまくった“Color Color Color”。オレンジや赤など、明るい色調の照明に包まれながら歌う溝渕 文は、本当に幸せそうだった。観ている我々も、思わずニコニコせずにはいられない。そして、ラストを飾ったのは“雨粒”。抑制を利かせながらアンニュイな調べを奏でていると思ったら、突如開放的な躍動感へと転じる展開が快感! 自由自在に感情を表現する彼女の歌声の魅力が最大限に発揮されたナンバーであった。歌い終えると「ありがとうございました。良いお年を~!」と、溝渕 文は陽気に手を振りながらステージを去った。初めて彼女のステージを観た人が多かったと思うけれど、皆すっかり魅了されてしまったのではないだろうか。(田中大)