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静寂に包まれるCOSMO STAGEに登場したのは、札幌在住の4ピース・バンド、sleepy.ab。ステージに向かって左に田中(B)、中央奥に津波(Dr)、その手前のイスに腰掛けた山内(G)、右端に成山剛(Vo&G)というフォーメーションで位置につき、“メロディ”が始まった途端、COSMO STAGEは異世界へと誘われていく。透明感あるビートと大きな波を描き出すギター、そして地平の彼方へと飛び越えていくような成山の歌声……。それらがゆるやかに折り重なって、北の大地を思わせるような広大で、静謐で、ひんやりとした情景を立ち上げていく。続く、来たる新作『Mother Goose』からのナンバー“Maggot Brain”では、切迫感のあるビートと不穏なメロディが聴き手の知覚を覚醒させていく。とても繊細で、スリリングで、緊張感あるアンサンブル。フロアも固唾を呑んで、この音が描き出す輪郭を見守っている。ゆったりとしたリズムの上で美しい旋律が紡がれる“かくれんぼ” も新作に収録される曲のひとつ。彼らならではのアブストラクトな音の色彩がステージ上から鮮やかに放たれる。消え入りそうな声で「ありがとう」と呟く成山のヴォーカルも、その浮世離れした世界観を高めていく。

田中の口から新作が2月にリリースされることが発表された後、さらに彼らはその中に収録される“どんぐり”を披露。今にもどんぐりを頬張ったリスが飛び出してきそうな、ほっこりとしたアンサンブルが心地いい。こういう生命力とぬくもりに溢れた楽曲も、凛とした強さで鳴らされているところに、sleepy.abの新たな進化が見て取れて嬉しかった。「この後すぐ札幌に帰ることになっているんですよ。本当はもっとゆっくりフェスを楽しみたいんだけど……」というMCの後は、ラスト“Scene”で再びCOSMO STAGEは居空間へ。その音は時間軸も超越したかのように鳴り響き、大晦日の今日、現在からも過去からも解き放たれた場所で鳴っていた。そして、異次元を描き出したそのサウンドは、大きなインパクトを我々に残していった。(齋藤美穂)