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SEが鳴り響く中、肩慣らしのようにギターを鳴らしていた小山田壮平(Vo・G)がふと歌い始め、藤原寛(B)と岡山健二(Dr)のビートが合流して始まった“革命”の時点で決定的! 熱いビートが雄々しく高鳴り、胸に深く突き刺さって止まない小山田のやわらかな歌声が、一気に迫って来た。続く激しいドラムに彩られながら突入した“FOLLOW ME”で、フロアはもうすっかりandymoriがリードするダンス天国と化している。

「ドラム、岡山健二!」と、先月正式加入したばかりの岡山を小山田が紹介。ドラムソロを挟んで“ベンガルトラとウィスキー”へ。ビートから零れ落ちるように言葉を溢れ返らせる歌が超スリリングであった。岡山の方を向きながら小山田がギターを力強くカッティングして始まった“Transit in Thailand”では、全身をグラグラ痛快に揺さぶるビートが我々を完全に支配! 彼らは、ここまでほぼ一気に駆け抜けて行った。

再び岡山を紹介してから中盤戦で届けたサウンドは、モードが少し変化。“1984”は絶好のコンビネーションを既に掴み取っている3人のアンサンブルをじっくりと体感させてくれた。「一緒に楽園へ行こう!」と小山田が誘って始まった“楽園”は、切々と想いを訴えかけるかのような歌声が、終盤で強力な爆音に包まれて行く展開が圧巻であった。 そして、彼らのステージはいよいよクライマックスへ! ダンサブルなビートを3人が全力で打ち込んだ“僕が白人だったら”。タテのりで飛び跳ねたくなる軽快なビートを惜しげもなく放射して、ピースサインを掲げたお客さんたちを踊らせまくった“CITY LIGHTS”。スピード感たっぷりに駆け抜けながら、皆のタテのり衝動をさらに容赦なく加速した“everything is my guitar”……楽しい瞬間の連続であった。 「去年も来た人! おお~! いるな。今年も元気で過ごしてください」と小山田が朴訥としたトーンで語り、ラストに聴かせてくれたのは“投げKissをあげるよ”。カラッと乾いたビート、とことんスウィートなメロディを浴びながら、身体をうっとりと揺らすお客さんたちの姿が、何とも言えず幸福な光景を生み出していた。(田中大)