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煌びやかなダンス・フロアであったはずのASTRO ARENAが、瞬く間に妖艶な4人のホテル従業員たちが待ち構える部屋へと姿を変える。ノイズの渦巻く空間の中央にマリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)が佇んでビシイッ!!とムチを振り下ろし、“球体関節”からキノコホテルのステージが幕開けだ。ゆったりと右に左にステップを踏みつつ、睨めるようにフロアを見渡しながら歌を届けるマリアンヌ様の御姿。隙間だらけのバンド・サウンドにグルーヴを宿らせる“白い部屋”の乙女心は、じわじわと胸の内にへばりついてゆくようだ。「どうも。今日は28日だからまだ働いている方が多いかと思ったけど、意外とヒマ人も多いのね。はじめまして、キノコホテルです。どうぞお見知りおきを。今日はなぜ来たかと言うと、可愛い可愛いマリアンヌ様人形、そうそれ。それを売りつけるために来たようなものです。一個1000円。来年の厄除けに如何でしょうか?」マリアンヌ様はそんなふうに仰っておいででございます。ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)のバスバスと突き刺さるビート、イザベル=ケメ鴨川(電気ギター)のひしゃげたファズ・ギター、ぐりぐりとドライヴするエマニュエル小湊(電気ベース)のベース・ラインがパンキッシュに転がりながら、身をよじらせて歌うマリアンヌ様の歌メロを支えてゆく。“回転ベッドの向こう側”では、原色の有機模様が蠢く映像演出とサウンドが混ざり合って余りにもエロティック過ぎる。“愛人共犯世界”と“キノコノトリコ”を立て続けに放つと、あっという間の最終ナンバー“キノコホテル唱歌”に辿り着いてしまった。エマニュエルから順にメンバーがコールされ、またLEDスクリーンに名前が掲げられる中にそれぞれの尖りまくったソロが盛り込まれる。ひときわ大きく沸き上がるような歓声で応じるオーディエンスたち。そしてイザベル=ケメ鴨川が「お待たせ致しました。当ホテルの支配人を紹介致します。貴方の心の支配人、マリアンヌ東雲ー!」とコールすると同時に、オルガンの上に立ち上がって踏み鳴らしながらムチを振り回すマリアンヌ様だった。「どうもありがとう、キノコホテルでした。ごきげんよう。良いお年をね」。あの、なんというか、今年もありがとうございました。いろんな意味で。(小池宏和)
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キノコホテル のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ