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非常に男子の、男子たる追憶と執念のラヴ・ソングを歌うバンドが出てきたな、と思っていたら、メジャー・ファースト・アルバム『スーパースター』はあれよあれよのオリコン・ウィークリー4位! もはや新人枠ではとらえきれないback numberである。ストリングスの荘厳なSEとともにメンバー登場。ヴォーカル清水の「back numberでーす!」という叫びと共に走り出した“こぼれ落ちて”は、ライヴのキックオフにふさわしいパワフルなロック・チューン。バンドの幹の太さが伝わってくる。ロッカー然としたストラップの低いベーシスト、小島のたたずまいがいいぞ。フロア前方では早々に拳が上がる。 “半透明人間”でもグイグイ引っ張ったところで、いよいよ真骨頂のミドル・スローのラヴ・ソングを続けて歌う。「今年は一年いろいろありましたね。今一番心の中に思い浮かぶ人を思って聴いていただけたら」という清水のMCと共に送り出したのは“思い出せなくなるその日まで”。続く“花束”もそうだけれど、聴く者に執拗なまでに絡みつくグッド・メロディを紡ぎ、清水の切実な気持ちが本気だと伝わってくる。その歌と響きはCOSMO STAGEの空間を掌握し、盛り上げるだけじゃないフェスの楽しみを味わわせてくれた。不思議なもので、みんなちゃんと聴き入ってるなあ、という空気はよくわかるものだ。という思いに浸っていたところに、最後は“スーパースターになったら”できっちりアゲて、終了。短い時間の中でバンドの魅力を伝えきるライヴだったと思う。(斉藤知太)