3日目MOON STAGE、前半最後のアクトはpocketlife! 「幕張! 俺らがpocketlifeだ!」というモリコンのコールから、ついさっきまでSEで高らかに鳴り響いていたAC/DC“Big Jack”のダイナミズムのバトンをそのまま受け取って撃ち放つように、“terrace”のスケールでっかいビートでMOON STAGEを圧倒してみせる4人。“Empty”のメランコリック&エモーショナルなメロディが、ロックンロールとブルースとファンクがせめぎ合うような切迫したビートの上で狂おしく響き、続く“maybe”では極限まで削ぎ落とされたビートとアンサンブル越しにモリコン&BxAxNxZxAxIのコーラスで大輪の歌を花開かせ、そこにPiggyの霹靂の如きギター・ソロが鳴り響いて、MOON STAGEにびりびりと緊迫感を走らせる。その幅広い音楽性が楽曲に鮮やかな色彩を与えている上に、何しろひとつひとつの音の存在感がとんでもなく図太い。
「幕張のみんな! ここは幕張だけど、今から香港の歌を歌うわ。最高にロマンチックで、最高に楽しい……香港に行くやつ、一緒に行こう!」と“香港コーリング”へ。ムーディー&オリエンタルなAメロと、狂騒の極致のような轟音アンサンブルの間を幾度となくスイッチングしながら、フロア丸ごとロックの異世界へと誘ってみせる。洋楽パンク直系のパワフルな音の肉体性を持ちつつ、それこそトゥールあたりの音楽に通じるような、見果てぬ音の冒険へと自らを駆り立てる4人の探究心が、タイトでミステリアスな楽曲のひとつひとつから伝わってくる。「ラスト・ソング、“the Line”!」。この世界のカオスをかき混ぜるようなヘヴィなビート。虚空にむせび泣くようなセンチメンタルなメロディ。モリコン/Piggy/BxAxNxZxAxI/KENZOの奏でる音は高揚の高嶺を長い時間をかけてゆっくりと昇り始め、最後には荘厳なまでのクライマックスを描き出していく。眩くスパークする残響音の中、「pocketlife! pocketlife!」と何度も声の限りに叫ぶBxAxNxZxAxIの声が、ロックの「その先」を目がけて進む4人の衝動の存在証明のように思えて、胸が熱くなった。(高橋智樹)
pocketlife のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ