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少し薄暗くなってきた富士スピードウェイですが、まだまだこれからも盛り上がりますぞ! ストレイテナーがリベルタステージを熱く沸かせたあと、次なるモビリタステージに登場するのは、1981年に解散した、日本の、いや世界のテクノポップ/ニューウェイヴの草分けである伝説のバンド、PLASTICS! 5月に行われた大阪・東京の復活ライブの、東京公演はUSTREAMで生中継され、そのアクセス数は世界1位を記録したという。
音楽、ファッション、デザイン・コンセプトがすべてユニークかつ革新的、ワールドワイドでフォロワーを多数生みだした存在。今回の復活プロジェクトのメンバーは、立花ハジメ(G)、中西俊夫(Vo&G)、佐久間正英(Key)(以上オリジナルメンバー)、屋敷豪太(D)というメンバーに、Saori(Vo&Flute)、moMo(Key&Cho)をフィーチャリング、という布陣。

ご存じない方のために、それぞれのメンバーをちょっと紹介しておきます。
立花ハジメはグラフィック・デザイナー、現代美術作家でもあり、音楽活動と並行して、坂本龍一、TALKING HEADSなどのレコードジャケットやPVなども手がけてきた方。
中西俊夫は、ミュージシャン兼プロデューサー兼仕掛人のような存在で、PLASTICSを解散後にMELONを結成。1987年には藤原ヒロシや高木完、屋敷豪太らと、おそらく日本最初のヒップホップレーベルのひとつであるMAJOR FORCEを立ち上げ、スチャダラパーなどを世に送り出す。その後、野宮真貴とのプロジェクトPLASTIC SEXなどなど、さまざまな音楽活動を展開。
佐久間正英は、日本を代表するプロデューサーですね。BOOWY、JUDY AND MARY、GLAY、エレファントカシマシ、くるりなどなど、手がけてきたアーティストは数知れず。1999年にはケイト・ピアソン、YUKI、島武実、ミック・カーンらとNiNaを結成しています。
屋敷豪太は、先述のレーベルMAJOR FORCEを立ち上げたメンバーのひとりであり、90年頃からヨーロッパに活動の場を移し、SOUL II SOULやシンプリー・レッドなど、数々のバンドに参加したり、ビョークやシンニード・オコナーなどなどの作品に関わってきている。
……と、軽くおさらいしてみても分かる通り、ここ数十年の日本の、いやヨーロッパも含めたポップ・カルチャーを牽引してきたアーティストたち、といっても過言ではないのだ。
ステージで「なにか特別なこと」が起こり続けている本日のJAPAN JAMだが、PLASTICSは、彼らがステージに立つ、ということそのものが「とんでもないこと」なのである。



工事用の黄色いヘルメットをかぶったり、スカーフで口を覆ったりしているメンバーが、不自然に膨らんだつなぎを着てステージへ登場。「Hello, JAPAN JAM. Are You Ready?」と、1曲目“PARK”をスタート。中西は歌いながらつなぎのボタンをあけ、中から赤い風船を取り出してステージから投げる。2曲目の“I AM PLASTIC”からは、ファースト・アルバム『WELCOME PLASTICS』の楽曲が続いた。当時「ピコピコ」と形容されたサウンドはもちろん健在で、浮遊感あふれるテクノポップな演奏と、まるでテルミンのようなメロディラインを奏でるSaoriのヴォーカルが交差する様は、理屈抜きに楽しい。さらに、“ROBOT”で甲冑のような衣装を身にまとい、サンプラーパッドを首にかけた中西がインベーダーゲームの効果音をピシュッ、ピシュッと出しながら歌ったり。ライティングと衣装がトータルで映えるように考えられているかのようなキッチュでスタイリッシュなステージングが目にも鮮やかだったり。同じ動きを繰り返すダンスがシュールで可愛かったり。月並みな言い方だが、まさにおもちゃ箱をひっくり返したようなパフォーマンス空間は、未経験ゾーンの興奮をもたらしてくれる。
「宴もたけなわ! みんな頑張ろう!」というMCをはさむと、いよいよクライマックス! “COPY”“TOP SECRET MAN”で富士山麓をPLASTICS流のポップに染め、ステージを去っていった。古いのに新しく、完成されているのにどこか手作り感のある彼らのライブは、去り際に中西が言った一言に集約されるだろう。「THIS IS IT!」。(上田智子)

1 PARK
2 I AM PLASTIC
3 I WANNA BE PLASTIC
4 DIGITAL WATCH
5 DELICIOUS
6 GOOD
7 PEACE
8 ROBOT
9 DIAMOND HEAD
10 CARDS
11 COPY
12 TOP SECRET MAN