メニュー


◆ACIDMAN (18:00 リベルタステージ)
ゲスト・アーティスト:Candle JUNE / ホリエアツシ(ストレイテナー) / ATSUSHI(Dragon Ash)

空を灰色の雲が覆い、いよいよ空気も冷たくなった午後6時。そんななか、薄暮のリベルタステージには煌々とオレンジ色の灯り。大小さまざまなキャンドルの火がゆらゆらと揺れている。見ているだけで暖かくなってくるような、幻想的で柔らかい光だ。これはCandle JUNEというキャンドル・アーティストによるもの。この光と音楽の融合が、どんな体験をさせてくれるのか。まずはイチゴが姿を見せた。スネアを叩きはじめる。いつもの鋭くアグレッシヴなプレイではなく、ブラシを使って繊細に。そしてサトマ、オオキが登場。静かに“REMIND”へと入っていく。すごい! 原曲のエモーショナルな高揚感はそのままに、音だけが優しく、細やかになっているのだ。続く“swayed”も、ボンゴやマラカスを取り入れたラテンなノリのサウンドに生まれ変わり、まったく新しい表情を見せる。サトマのアップライト・ベースがオオキのソフトなギター・ピッキングと絡み合い、楽曲の切実なテーマが、より近くに感じられた“波、白く”もそう。これはACIDMANであり、ACIDMANではない。楽曲が新たな生命を吹き込まれていくのを間近で見るようだ。 “赤橙”はボサノヴァ調になり、“ファンタジア”はギターとベースのアルペジオによって流れるような展開を見せる。

そして、ここでゲストがステージ上に呼び込まれる。オオキが「よき仲間であり、尊敬している」という、ストレイテナーのホリエアツシだ。先ほどのストレイテナーのステージにもオオキが参加、“SIX DAY WONDER”をデュエットしていたが、こちらではホリエがキーボードを弾きつつ、名曲“リピート”で美しいハーモニーを響かせた。すべてを分かり合っている盟友たちによるコラボレーションは、ジャム・セッションの緊張感というよりも、どこか安心感や信頼感に似たものが漂う、気持ちのいいものだった。

続く“彩-後編-”では「今日はもうひとりスペシャル・ゲスト。彼のソロの踊りを見て鳥肌が立ちました」というオオキの紹介でDragon Ashのダンサー、ATSUSHIが登場。Dragon Ashのときとはまったく違う雰囲気で、手足を思いっきり大きく広げながら、全身を躍動させる、といったほうがいいような、鬼気迫るパフォーマンス。生命のすばらしさ、尊さを伝えるプロジェクト「POWER OF LIFE」の発起人でもあるATSUSHIの、文字通り命を燃やすようなダンスが、情感のこもったオオキの声、鼓動のようなギターの音色、さらにキャンドルの放つ光の表情とシンクロして、神秘的ですらあるようなヴァイブを生み出していく。思わず息を呑む。

再び3人だけになったステージは、いよいよラストに向けて加速していく。しっとりと“Under the rain”、そして空に向かってまっすぐに駆け上がっていくような、透き通った高揚感をもたらしてくれた“FREE STAR”。ラスト・ソングの前にはオオキの口から今回のパフォーマンスの根底にあるテーマが語られた。「何かが生まれ、消えていくことの繰り返しでこの世界ができている」こと。「すべてのものがもともとはひとつだった」こと。だから「こうしてこういう場でみんなと会えるというのはすばらしい」と思うこと。キャンドル・アート、ダンス、そして音楽。こうしてJAPAN JAMという場でジャンルを超えてつながったアート・フォームの根底には、生命や生きることへの想いが同じように込められている。その意味では、これもまぎれもなく「JAM」だということだ。最後に演奏された“季節の灯”はまさにそんなテーマを歌ったもの。この優しくも熱いステージを締めるのには、まさにぴったりだった。(小川智宏)

1 REMIND
2 swayed
3 波、白く
4 赤橙
5 ファンタジア
6 リピート W/ ホリエアツシ(ストレイテナー)
7 彩 -後編- W/ ATSUSHI(Dragon Ash)
8 Under the rain
9 FREE STAR
10 季節の灯