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いよいよ最終日・3日目を迎えた「JAPAN JAM 2012」。好天に恵まれ、一気に初夏の雰囲気となった新木場STUDIO COAST界隈だが、本日のトップバッターはそんなシチュエーションにぴったりの陽性アクト。MONGOL800の上江洌清作がレゲエセレクターのThe BK Soundと新たに結成したユニット、その名も上江洌.清作 & The BK Sounds!! からのスタートだ。しかも事前にアナウンスされていたゲスト・アーティストは、彼等ゆかりのミュージシャンたちがなんと8人も顔を揃えたNAKAYOSHI ROCKERS(リズム隊のふたりはフロム・ジャマイカ!)、そしてBEGINのギタリスト島袋 優にダンスホールアーティストのIVAN(彼もジャマイカ在住)と、総勢12名もの名前が報じられており、ビッグバンド形式の盛大なものになるというから期待も一層膨らむ。

ステージはまずThe BK SoundひとりのDJからスタート。ボブ・マーリーの曲を中心にゆったりとしたレゲエビートに乗せて「まずは俺と準備運動いいですか? どれだけ音楽を愛しているのか、みんな見せてくれよ」と呼びかけ、場内にいいバイブレーションを広げていく、彼お得意の手法だ。場内が程良く温まった頃合いを確認するや、早速「始めますか!一発目だけど一番盛り上げるのでよろしく」と叫び、アップテンポな曲にチェンジすると、まずキヨサクがゆっくりと登場し、続いてNAKAYOSHI ROCKERSの8人、そして早くもゲスト・アーティストのひとり、島袋 優も一緒に現れ、ステージ上はいきなり総勢11人という華やかな編成となる。キヨサクはジャケット姿で、ベースを持たず手にはマイク、というスタイル。まずは3管のホーン隊の響きも美しい穏やかなレゲエ曲の連続技でじっくりとスタートしたステージは徐々にテンポを上げ、ジャンプナンバー“I WON’T LET YOU GO”に突入する頃には、もう一人のゲスト・アーティストIVANも登場し、軽快なステップとちょっとコミカルなパントマイムふうのダンスで場内にさらに陽気な空気を持ちこんでいく。そしてThe BK Soundが「今日を快晴にしてくれたすべての晴男・晴女に感謝。それではこのパーティー・チューンを。“真赤な太陽”」と叫ぶと、この昭和歌謡の名曲を骨太なアレンジに改編した演奏が始まり、キヨサクがハンドマイクで一層ソウルフルな歌声を聴かせていく。



「暑いね。でも、もっと暑くしようよ」というフレンドリーなMCに続き、メンバーを紹介するキヨサク。「まだCDも出ていないうちからいきなりのライヴですが、何の先入観もないところで素直な気持ちで音楽を楽しんでください」という前置きを経て、もうすぐリリースされる上江洌.清作 & The BK Sounds!! のアルバムからタイトル曲“ISLAND”を披露。沖縄もジャマイカも日本も同じ島国、という共通項から国境や民族を超えた大きな意味での人類愛を歌うシリアスなナンバーで、レゲエという音楽が本来持つ敬虔な側面を見せていく。



そこからThe BK Soundの「そろそろ俺達のペースに慣れてきたんじゃない? それでは新木場の元気を見せてくれよ」という叫びとともに、The BK Sound のかける曲が一気に華やかなものになる。そのままなだれ込んだ次の曲は“STICK BY ME”。キヨサクのちょっとセンチメタルな感触の入った声が似合うバラード調のレゲエだが、ワンコーラス目を歌い終わったところでThe BK Soundがフロントに走り出してくるや、「ここからスペシャル・バージョン!」と叫ぶと、曲はにわかに骨太なセカンド・ラインのビートに豹変。そして彼が「IVANはどこだ?」と叫ぶと上手2階のバルコニーにスポットが当たり、そこにはシャープなステップと豪華なジャンプで溌剌と踊りまくる彼の姿が。大きな喝采を浴びた後は、一気に階段を駆け下りステージまで駆けもどってくる。場内、さらに大歓声。続いてThe BK Soundが「I say“JAPAN” You Say“JAM”」というコール&レスポンスで場内をさらに盛り立てていき、メンバーひとりひとりを順番にフィーチャーしたソロ・タイムに突入する、という、めくるめく展開へとなだれ込んでいく。


続いては、オルガンが壮大に響く中、キヨサクが真摯な口調で語る。「MONGOL800の曲の中から、ジャマイカでセッションした曲があります。今の自分が一番伝えたいと思う曲を選びました。“神様”」。「神様お願いがあるのです、上手に騙してください」「歴史も教科書も間違える」という、モンパチの曲の中でもかなりシリアス方向に寄ったこの楽曲を、じっくりと歌い上げ、場内も全身を耳にして彼の歌に聴き入る。


そして、性急なレゲエ・ビートの “THERE IS A REWARD”が始まり、再び場内の温度も上がり始める。続く “MOON RIVER”では、このジャズのスタンダードさえも、レゲエのリズムに乗せることで、グルーヴたっぷりの骨太ナンバーになることを証明したあと、The BK SOUNDがひとこと。
「最後の曲です。それでは今日一日、音楽を愛してください。“DAYDREAM BELIEVER”」と叫び、キヨサクが朗々と歌い出すも、すぐいったんブレイク、テンポを上げてやり直す、というレゲエのお約束な一幕を繰り出したりするのも、今日のスペシャルユニットの醍醐味。キヨサクも「一回やってみたかったんだよね」とかなりご満悦の様子。そのまま、彼とオーディエンスによる「ラララ~」という合唱で場内をゆるやかな一体感で満たすなど、最後の最後まで自分達の血や肉となっているタイム感でステージを全うした彼等。「JAPAN JAM 2012」最終日のスタートを、まずは幸せな空気で作り上げてくれた12人でした。(小池清彦)


◆上江洌.清作 & The BK Sounds!!
ゲスト・アーティスト:島袋 優(BEGIN)、IVAN(DANCEHALL ARTIST)

1 月ぬ美しゃ
2 NICE TIME
3 I WON’T LET YOU GO
4 真赤な太陽
5 ISLAND
6 STICK BY ME
7 神様
8 THERE IS A REWARD
9 MOON RIVER
10 DAYDREAM BELIEVER