ふと気がつくと空が晴れてきた! 気温はグングン上昇し始めているが、眩しい太陽光線と、海から吹いてくる風が気持ちよい。申し分のない夏フェス・モードになってきたところでcutman-boocheの登場だ。「みんなロック・イン・ジャパンの10周年を盛り上げていこう!」とウリョン(Vo/G)がお客さんに呼びかけて1曲目“Verse book”がスタート。3ピース・サウンドが柔らかな感触で広がり、随所でウリョンと小宮山純平(Dr)のハーモニーが涼やかに煌く。音圧で攻めてくるタイプのバンドでは決してないが、曲が展開するにつれて、グルーヴのウネりが壮大なエネルギーを帯び、聴き入っている内に、自ずと心地よく体を揺らし始めてしまう。実に不思議な魅力に満ちたサウンドであった。
以降もその絶好のグルーヴは抜群に発揮されていった。彼らのオーガニックなサウンドが、頭上に広がる青空と大地を穏やかに震わせる。そのヴァイブレーションを全身で感じる幸福感と言ったらない! 仄かにジャジーな味付けが添加されたCoccoのカヴァー“強く儚い者たち”などを経て、いよいよ最後の曲。「みんな幸せを掴んでいこう! そんな曲を。踊って欲しいねん!」とウリョンが呼びかけて突入した“サイクル”が、本当に最高だった。清々しいメロディと、強力なダンス・ビートが美しく融合し、穏やかな一体感と共に、フィールド全体が熱く揺れたのだった。(田中大)
cutman-booche のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ