高く上り詰めた太陽と、上昇する気温。しかし、そんな空間だからこそ、身も心も揺らして踊るのは楽しいのだ。そんな欲求を間違いなく満たしてくれるのがcutman-booche! お客さんからの暖かい拍手に迎えられたウリョン(Vo・G)と小宮山純平(Dr・G)は、キーボード、ギター、ベースのメンバーと共に最高のグルーヴを放っていった。バスドラムの軽快なビートがお客さんの手拍子を誘い、一気に幸福なダンスフロアを出現させた1曲目"サイクル"。サビ時にお客さんの笑顔から窺われる開放感がハンパではない。そんな様を目の当たりにしながら、ウリョンも力強くステップを踏んで歌う。熱気を上昇させるのは勿論、幸福度もグングン上昇させるオープニング・ナンバーであった。
昨年はこのフェスに3人編成で出演したが、メンバーの脱退により今年は2人編成。「2人になったけど、ここに来れて良かった!」と喜びを露にして語って始まった"揺らぎ"は、ステージ上が音楽を奏でる喜びで満ち溢れていた。「6月にアルバムを出してツアーを回ったけど、茨城には来られなかった。今日来られて良かったです! みんなの夏の思い出になるようなライヴをやりたいので、夏の歌を聴いてください」と、ウリョンが紹介して聴かせた"夏のかけら"は、ピアニカのノスタルジックな調べに彩られながら展開。甘酸っぱいメロディが胸に沁みた。
「最後にゲストを紹介します。ウルフルケイスケ!」。トレードマークのテンガロンハットを被り、最高の笑顔を光らせて登場したウルフルケイスケ。突然のスペシャル・ゲストに、お客さんから大喜びの歓声が起こる。そして、ウリョンは引き続き語った。「今日は兄さんと一緒にやりたかった。俺らに音楽の素晴らしさ、続けていくことの素晴らしさを教えてくれました。人生いろいろあるけれど、立ち上がっていこうぜ!」。始まったのは"立ち上がれ"。ウルフルケイスケのブルージーなギターが響き渡る中、ハンドマイクでステージ上を巡りながら《立ち上がれ》という印象的なフレーズを何度も繰り返して歌ったウリョン。様々な経験を経て一層深みを増したcutman-boocheの姿を目いっぱいに感じさせるナンバーであった。曲を終え、ウルフルケイスケと肩を組んで、ウリョンは力強く手を振った。「また来ます!」というステージからの去り際の言葉に対して、お客さんからの惜しみない拍手が湧き起こった。(田中大)
cutman-booche のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ