メニュー




矢沢永吉、2006年以来のひたちなか降臨である。3年前は最終日のトリですべてをかっさらっていった永ちゃんだが、今回は同じ最終日でもトップバッター。本人も「36、37年やってるけど、10:30から歌うのは初めてです!」とMCしていたが、まさかこの人が午前中の野外で歌うとは。しかし、朝だろうと夜だろうと、そのロックンロールのセクシーさやスリルには関係ない。前説の渋谷陽一の「E.YAZAWA!」という呼び込みに続いて、バンドが骨太のグルーヴを鳴らすなか登場した永ちゃんが叫ぶ。「よろしくお願いしまーす!!」。そして “苦い雨”でライヴがスタートした瞬間、GRASS STAGE全体が沸騰した。純白のマイクスタンドをぶん回し、ステージ上を右へ左へ走る。その一挙手一投足から目が離せない。「ROCK IN JAPAN、熱いよー!!」。永ちゃんも心底楽しそうだ。優しいメロディの“YES MY LOVE”、矢沢を代表する大ヒット曲のひとつ“SOMEBODY’S NIGHT”とソングライター、シンガーとしての多彩な面を見せたところで、ついに「あの曲」。永ちゃんの「行くぞー!」という号令とともに何万ものタオルが宙を舞う。“止まらないHa〜Ha”だ。前回のステージを観ても感じたが、フェスのオフィシャル・タオルも、ほかのアーティストのタオルも、そしてもちろん「E.YAZAWA」のプリントがされたタオルも、色とりどりのタオルが一斉に投げ上げられるさまは圧巻の一言。フェスでしか観られない光景に息を呑む。そしてラストは“いつの日か”。30分という短めのセットだったが、しっとりとしたバラードが残した余韻は、文字通りまた「いつの日か」この地で出会えることを約束してくれているようだった。にしても、朝イチでこんなすげえもん観ちゃって、どうすりゃいいんだよ。(小川智宏)