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16:30~ これがロックンロールだ、HARRY!
8/2 18:40 UP
2000年に解散し、多くのファンに惜しまれながら「日本のロックの伝説」となってしまったザ・ストリート・スライダーズ。そのフロントマンとしてのハリーから、2003年、ソロとして始動しアルバム『Bottle Up and Go』をリリースしたハリー。そのハリーが、今、レイク・ステージに立ったのだ。感慨深さと、新鮮な感動に包まれる。
最初に書いてしまうと、このステージでハリーが披露したのは5曲。もちろん、もっと『Bottle Up~』の曲をいろいろと聴きたかったけど、この5曲から受け取ったのは、フル・アルバムをじっくりと聴いたような濃厚なタイム感だったのだ。
特筆しておきたいのは終盤の3曲だ。“You Can’t Be Serious”は、ロックンロールの熱さとクールネスを一挙に閉じ込めて、ある時は小出しにし、そしてある時は豪勢に解き放つ曲だ――するとどうなるか。リスナーとハリーとのコミュニケーションが起こるのだ。そして、一見そっけないのに、これほどに濃密なコミュニケーションってちょっとありえないほどのものだ。そして“Ramblin’ Shoes””は、ロックが遺伝子的に持っている不良性を、ストレートに、そして大らかに表現したナンバー。ストレートと言ってもビート一本やりではもちろんない。直線的なビートに、色気のあるヴォーカルに、実に多様な表情を見せつけるギターで揺さぶりをかけていくのだ。これが、本当にいろいろなバンドが、アーティストが自然に出そうと思ってもそう簡単には出せない、グルーヴってやつだろう。“No Ecstasy”は至極軽快、でもフル・スロットルなギター・リフで押していくナンバーだ。ギター・ソロの合間に、一瞬両手を髪を一瞬くしゃっとしたのだ。そんな何気ないしぐさが、ものすごく「来る」。ハリーが寡黙なのは知っているし、ステージでのアクションだって決して派手なほうではない。でも、どう聴いても、どう考えても雄弁なステージで、派手なステージだったと言えるのだ。
僕自身はストリート・スライダーズの歴史をリアルタイムですべて経験できたという世代ではない。でも、歴史の重みとしての凄さと、今目の前にあるものとしての凄さ、その両方をビシビシと感じさせてくれるライヴだったことは嫌というほどわかった。すべてはここから始まり、そしてすべてはいまだここにある――のだ。ハリーは20年前も、そして今もロックンロールだ。そしてこれからもそうだろう。ハリーの最後のMCは、「サンキュー。またどっかで」と言った。控えめだけど、これからもロックしつづける自信のあらわれと俺は受けとめた。(柳憲一郎)
空は夕刻の光を放ち始めた

「若い人向けの選曲?最高にカッコよかった! 
曲数が少なかったのが残念!」