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最終日、WING TENTは後半戦に突入! 登場したのはザ・ジェッジジョンソンだ。エレクトロ・ロックとかいうとどうしてもサイバーな雰囲気をイメージしてしまうが、彼らは違う。かつてから徹底した現場主義を貫いてきた彼らのライヴにおける音は、とにかく生々しくてリアルで、血が滾っている。この日も何か機材関係でトラブルがあったらしく、出てくるなりドラムセットの周りに集まって緊急ミーティングをしていたのだが、それが終わると藤戸じゅにあ(Vo/G)がマイクに向かって一言、「問題解決しました、ザ・ジェッジジョンソンです」。大した度胸である。しかし、いざ音が鳴ってみて驚いた。彼らのサウンドに不可欠なはずの電子音が、まったく鳴っていないのだ。どうやらさっきのミーティングの理由はこれだったらしい。そして、藤戸が「解決しました」と言っていたのは、エレクトロニック・サウンド抜きで、つまりギター2本とベース、ドラム、そしてヴォーカルだけでライヴをやると決めた、ということらしい。これはとんでもないことである。普通、エレクトロ・ロック・バンドが「エレクトロ」を奪われたら、音が痩せてしまうのは避けられないだろう。それどころか、音楽として成立しないかもしれない。それなのに、ザ・ジェッジジョンソンは、そんじょそこらのオルタナ・バンドが尻尾巻いて逃げ出すほどの気迫と音圧で、WING TENTを堂々制してしまった。観ていた人は分かるだろうが、上記のようなことに一切気付かないくらいの音だったのだ。本人たちはおそらく納得がいっていないだろう。でも、期せずして彼らの骨太な本質が浮き彫りになったライヴは、観ている側にとってはとても貴重なものだった。(小川智宏)