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会場内を歩いているだけでも溶けてしまいそうなほど強かった日差しもようやく弱まってきた頃、WING TENTにはanother sunnydayが登場! 元々はストレイテナーのサイド・プロジェクトとしてナカヤマシンペイ(Dr)と大山純(G)で2009年にスタートさせたもので、昨年、伊藤文暁(Vo/ex. serial TV drama)と美登一(B/THE RODS)が正式加入。そこからはデビュー・アルバムのリリースや、こうしてROCK IN JAPANにも初参戦するなど大躍進中の大型新人なのである。全員、黒シャツ着用のスタイリッシュな佇まいで、ナカヤマの激しいビートを合図に1曲目の“Ganache”からエモーショナルなサウンドを響かせ、続く“Spinning”ではギターの激しいリフがイントロから炸裂。“Feather”では4人が一斉に自由な動きで髪を振り乱しながらプレイすると、キラキラとしたエネルギーに満ちたアンセムがオーディエンスの心をどんどん揺さぶっていくようだ。ちなみにヴォーカルの伊藤以外の3人がロン毛なので見た目的にもなかなかワイルドな迫力がある。
憂いを帯びたサウンドが描き出すシリアスなムードのミディアム・ナンバー“cut and knot”では彼ららしい世界を描き出し、光が降り注ぐような明るいメロディと、ビート感を凄まじく際立たせる部分を交互に展開させるドラマチックな“Human Lighting”なども、彼らならではの色と匂いを既に放っているのだ。
「最近、another sunnydayというバンド名を付けたんですけど、この4人はsunnydayなんて言葉が似合わないんですよね」とナカヤマ。「あんまり外に出ないもんね」と伊藤も笑う。しかし“Cast off skin”もラストの“Sunnyday”も彼らのパワフルなアンサンブルは強く強く外側へと向かって鳴らされていた。sunnydayという言葉が似合わないとしても、晴れた場所へ行きたいと願う、そんなエネルギーに満ち溢れているのだ。その心意気はオーディエンスに伝わったのではないだろうか。それぞれのメンバーがやっている(もしくはやってきた)バンドが元々好きで観に来たという人も多かったかもしれないが、この4人だから紡がれるたった「ひとつ」の音を感じてもらえたはずだ。(上野三樹)