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ROCK IN JAPAN FES. 2012、ついに開幕。全5ステージの中で一番最初にステージに立つのは、このバンド。今年5月13日に国営ひたち海浜公園「水のステージ」SPECIAL OPEN AIR STAGEにて行なわれた全国高校生アマチュアバンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2012」の優勝バンド、ササクレ少女。

この暑さのなか、揃いの制服に身を包んでステージに現れた4人。ベースのさまべるがゆっくりと歌い出した“ササクレ少女のテーマソング”から雪崩れ込むように始まったのは“おもちゃのうた・R18 ”。さっきのイントロは打って変わって、元気溢れる甲高いコーラスが挟み込まれる。でも、演奏は本格的。4ピースのロック・バンドとしてフロントの3人のマイクスタンドとバスドラムの上にはパンダの赤い帽子がかけられている。

「大好きなお父さんのために作った曲です。“大事なもの~hair~”」というMCには客席から笑いが起きる。しかし、楽曲自体は、壮大で叙情的なバラード。失われたものへの切々とした思いが情感たっぷりに歌い上げられる。最初のMCさえなければ、シリアスなバラードとして受け止めてしまいそうな勢い。こうした部分も含めて、単なる女子高生バンドとはひと味も、ふた味も違う。

15分という短い持ち時間なので、もう最後の曲。「二次元の男の子に恋をする、オタクな私の歌です」というMCと共に始まったのは“De-to!!”。ベースのさまべるが、アニメのキャラクターの声で「あのね、あなたを見てるとドキドキするの! 私のハート爆発5秒前!!5、4、3、2、1!!!」とカウントを始め、そこから軽快なバンド・サウンドが走り出す。サビでは「あなたの手をとってデートデート 私の手をとってデートデート」という歌詞と共に、客席にも隣の人と手を繋ぐように要求。二次元の恋を歌った曲でありながら、彼女たちのライヴは巧妙に、リアルな体験となるように考えられている。「ササクレ少女でした。パンダー! 礼!」と最後に挨拶をしてステージを降りていった4人。ロックはやっぱりライヴだ。そう納得させてくれる10代のバンドで、今年のROCK IN JAPAN FES.は始まった。(古川琢也)