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ステージの真ん中には黒々と艶やかなグランドピアノがデンっと据えられている。ピアノ・ロック・トリオ、WEAVERの登場だ。リハではラフなTシャツ姿だった3人だが、本番ではしっかりジャケットやベストを羽織ってキリッと爽やかな好青年といった佇まいである。

が、しかし演奏がはじまるやそれが一転。あいさつ代わりとなるジャムから、パーカッシヴな鍵盤、超ファットなベース&ドラムで観客に先制パンチを食らわしていく。「おまたせしました、WEAVERです」。杉本雄治(Piano&Vo)の声を合図に、観客はハンドクラップと共に歓声をあげる。1曲目は“管制塔”。ドラムのキックがダンサブルなグルーヴを立ち上げ、それにあわせて杉本はリズミカルに鍵盤を操り、歌いながら手拍子で観客をあおる。ピアノの後ろに立っているが、気持ちはステージの先端でつんのめってるような感じだ。こんなにも豪快なバンドだったかと、のっけから驚かされる。

「WEAVERの今年の夏フェスはこのROCK IN JAPAN1本! 今日はノンストップで盛り上げていこうと思うんだけど、ジャパン、いける?」と、杉本が問いかける。3人は今年、原点に立ち返って、「Piano Trio Philosophy ~do YOU ride on No.66?~」と銘打ったライヴ・ハウス・ツアーを敢行。武者修業的なツアーのなかで生き物としての「ライヴ」とがちんこで取っ組みあってきたのである。そしてライヴ・バンドとして一段とタフになった雄姿を、今日のステージで存分に見せつけてくれるというわけだ。

“つよがりバンビ”では、間奏でピアノとベースが互いを挑発し合い、そこにドラムが加勢するという激しいインプロでWING TENTの熱をあげていく。かなりやんちゃなサウンドである。どの曲もデビューからの定番ソングだが、今日披露されたのは、ライヴの現場で磨きに磨き更新を重ねた楽曲たちの最新型。新鮮で爽快なメロディが風を巻き起こし、熱いアンサンブルがそれを熱波に変えてしまう、むちゃくちゃアグレッシヴなステージだった。(吉羽さおり)