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登場から2年ほどの間に生み出された楽曲に触れた時点で、時流を捉える視座の鋭さとそれをキャッチーな表現へと昇華するセンス、ライブでの作用の想定まで抜かりのない豊かでカッティングエッジな才能は疑うべくもなかったが、こうして並ぶとあらためて恐れ入る。ソウルやR&Bのゆったりとした浸透力に2ステップなどダンスミュージックの快楽性、ロック由来のヘヴィなアプローチ、儚さや情感を前面に押し出したメロディアスなものまで備えた曲ごとのバリエーションのみならず、単曲の中でもリズムパターンはおろか曲調そのものすら自在に、シームレスに変化させていくトラックメイカーとしての手腕を遺憾無く発揮。歌声や歌唱スタイルの振り幅も実に広いが、それ自体で過度な圧を感じさせることのない塩梅も絶妙だ。おまけに、ピアノのみの演奏に消え入るような繊細な歌を乗せる“最愛”やスタジアム級の景色が立ち上がる勇壮なアンセム“革命讃歌”といった新曲たちの存在は、彼女の有するさらなる奥行きまで窺わせる。(風間大洋)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号より)
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