バンドTシャツ 後編


洋楽大御所バンドのTシャツって、とにかくダサいと。
それでも買う奴がいるから、よくならないんだと。
前回そう書いた続きです。

そう。買うのだ。買うんだよ。あのダサいTシャツを、みんな。並んでまで。
東京ドームやさいたまスーパーアリーナあたりに押しかけるおっさん洋楽ロック・ファンは。
それ、着るの? ほんとに? その歳で?いつ? どこで? どういうシチュエーションで?
本気でそう問いたくなる。
で、実際に問うと、「ファンだから」とか「ライブがよかったから」とか、わけのわからないことを言うのだ。
ジャパン編集部の井上貴子のように。
好きだからって、着れないものを買うのは違うと思うぞ井上貴子。
このへんは、我々の世代よりも、若いロックファンのほうが冷静だし、正しいと思う。
あ、メタル好きな中年のみなさんは、ここには含まれません。ちゃんと普段から着てるし。

話を戻す。
私が今年行った、洋楽大御所バンドは、今年2月のTHE POLICEと、一昨日のTHE WHO。
どっちのTシャツも、正直、デザイン的には、とても着れたもんじゃなかった。どんなに大好きでもだ。
なのに両方買うおっさんがいるのだ。

昨日このブログに書いた、市川勝也がそうだ。
やめろと。絶対着ないと。
THE POLICE@東京ドームの終演後、強く止めたのに、それをふり切って市川はTシャツを買った。
で、水道橋の居酒屋の席に着く頃には、Tシャツを眺めながら「ああ、なんでこんなもん買ったんだ……」と、ぶつぶつ言っていた。

それなのに。一昨日のTHE WHO@横浜アリーナの終演後に、物販の列に並ぶのだ。
だから、やめろと。THE POLICEの時のことを忘れたのかと。
でも並ぶ。で、「どれがいいと思う?」とかきいてくる。
しょうがないので、中でもまだ一番マシというか、かろうじて普段も着れそうなやつを薦めた。
20分後、売り場に到達した市川は、私が薦めたのとは別の、白地にメンバー4人の写真がデカデカとプリントされた、最も普段着れそうにないタイプのものを、購入していた。
で、新横浜駅で電車を待っている頃には、「ああ、このプリント、おおざっぱ!」とか「こんなん着れるか!」とかブツブツ言っている。
だから言ったのに。

昨日書いた通り、この市川勝也という男は、ミュージシャンであると同時に、オリジナルウェアを扱う洋服屋を経営し、かつ、ゆらゆら帝国やTheピーズやフラカンなどなど、多数のバンドTシャツの制作を請け負う業者でもある。
つまり、プロだ。
Tシャツのよし悪しなど、私以上にわかっているはずなのだ。
なのに、買ってしまうのだ。
何なんだろう、この魔力は。
誰か教えてください。

なお、前回の写真は、市川に付き合って並んで、つい買ってしまったTHE WHOのキャップ。3,500円。
これならぎりぎり普段もかぶれると思うんですが。どうでしょう。
で、今回の写真は、渋谷系以前に「街で着れるTシャツ」を先取りしていた一品。
GREAT3の3人とHICKSVILLEの3人が在籍していたROTTEN HATSのメジャー・デビュー・アルバム『SUNSHINE』リリースの時に、所属レコード会社が作ったノベルティTシャツ。
1992年のものです。