イギー・ポップとアントニオ猪木


宮嵜のブログ「IGGY POP、もうステージダイブやめます」を読んで
(これ → http://ro69.jp/blog/miyazaki/32485 )、

大笑い80%、なんともいえないわびしい気持ち20%、な心境になりました。

僕がイギー・ポップのライブを初めて観たのは、フジロックだった。
東京・豊洲で行われた、1998年・2回目の開催の時。
翌年から今の苗場になりました。
その頃は2日間開催で、確か1日目のホワイトステージのトリだったと思う。
そうだ。ステージ、まだグリーンとホワイトの2つしかなかったんだ。
隔世の感がありますね。

で。イギー・ポップって、ライブの後半、盛り上がってくると、
客をステージに上げますよね。
この日も、制止するセキュリティを押しのけて、それをやったんだけど、
その結果、客がステージに上がりすぎてしまったのです。

満員電車状態というか、もう足の踏み場もないというか、
イギーの立つ場所もないくらいの、だからおちおち歌えないくらいの、
こっちも気を抜くとイギーを見失って「あれ? どこにいるの?」くらいの、
いわば「イギーをさがせ」みたいな状態になってしまったのです。

明らかにイギー、困ってた。思わず、表情が素に戻っていたように見えた。
それを観て大笑いしたのを、宮嵜のブログを読んで、思い出したのでした。


あと、日本のバンドで、
「ステージで踊りまわる客がエフェクター踏んじゃって、
肝心なところでギターの音がペラペラになる」
とか、
「客がマイクスタンドとか倒しちゃって歌えなくなって、ミュージシャン、
『これじゃあライブできないよ!』とキレる」
という瞬間も、目撃したことがあります。


それから、こういう「客が上がっちゃって大変なことに」系の
事件の最高峰で、「猪木祭り2003事件」という伝説の一夜がある。
って、音楽じゃないが、これ、格闘技ファンはみんな知っている、
有名な事件です。

2003年の大晦日→2004年の元旦に、神戸で行われた
「猪木祭り2003」、全試合終了後の
「108つビンタ」
という企画でのこと。
これ、つまり、除夜の鐘にかけて、猪木が選手や観客
合計108人に、リング上で次々にビンタする、というもので、
この頃、毎年やっていた記憶があります。

で。この年は、最初は「何列の何番の方」って客をリングに
上げてたんだけど、途中から猪木が、手を挙げた客を
「はい、そこのきみ」「そこの3人組」というふうに指名し始めた。
で、それを整理しようとして、アナウンサーが入ってきて、
「猪木さん、どういう順番でいけばよろしいですか?」
ときいたら、
「ここからは、並んだ人から108人目までということで」
って言っちゃったもんだから、
客が一斉に押し寄せ、勝手にどんどんリングに上がっちゃったのだ。

リングの上はもう、朝8時半の山手線のような大混雑。
その上、みんなわれさきに、猪木にビンタしてもらおうと
するもんだから、危険極まりないくらいの大混乱。
で、明らかに自分が招いたことにもかかわらず、
そのあまりの状況にぶちきれながら、

「バカヤロー! 一列! 一列!」
「なめんなおまえら! 一列だっつてんだろー! 下がれー!」
「ルールを守れこのヤロー!」
「殺すぞ! ルールを守れ!」

とかわめきながら、次々と客にビンタを食らわしていく猪木。

これ、直後に格闘技雑誌「kamipro」に「誌面で完全再録」が載った。
読んで、もう大笑いした。で、あとでネットで映像を探して、観て、
さらに、もう血を吐くほど笑いました。

「あれ? 今の、ビンタじゃなくてグーで殴ってない?」とか
「うわ、ストンピングしてる。足元映ってないけど、
これ客を踏みつけてるよね、明らかに」とか、
そういうなんだかとてもすごいシーンが、いっぱいありました。

今でもニコ動とかで観れます。ぜひ。「ぜひ」じゃないか。