リッチ・ロビンソン率いるマグパイ・サルートが初来日公演を行ったが、ハードなリフを繰り出すブルース・ロックからジャム・セッション的なパフォーマンスなど、その身上と魅力をあますところなく披露してくれた。
2015年にザ・ブラック・クロウズが決定的な解散を迎えて以降、リッチは本格的に自身のソロ活動に専念。その結果、辿り着いたのが、それまでの自身のサイド・プロジェクトで活動を共にしてきたボーカルのジョン・ホッグやマット・スローカム、ジョー・マギストロに加え、さらに元ブラック・クロウズのギターのマーク・フォードとベースのスヴェン・パイピーンらとともに結成したのがこのマグパイ・サルートなのだ。
もちろん、このユニットとしての新しい楽曲も打ち出していくのと同時に、ブラック・クロウズ時代の楽曲も取り上げるのも既定路線で、さらにリッチとジョンとのかつてのコラボレーション曲やマークのソロ作品なども取り上げつつ、バンドの体質に最もかなったカバーも披露するという内容のパフォーマンスとなった。
ブラック・クロウズ時代を含めたリッチの音楽性の全容を堪能できるライブとなったところがとても前向きだったし、演奏そのものは圧倒的なミュージシャンシップとイマジネーションをみせつけるもので、今回のプロジェクトに乗り出してくれたことは本当にありがたいことだと思った。
たとえば、オープナーとなった新曲の"High Water"などは、アルバムの方は限りなくフォーク・ロック的なサウンドとハーモニーを聴かせる曲となっているが、のっけからヘヴィーなギター・サウンドで襲いかかってくるところがさすがにこのラインナップのバンドとしての醍醐味で素晴らしかった。曲がもともと持つドリーミーな要素はしっかり保ちつつ、そのドリーミーな肌合いを終盤のフリー・セッション的な演奏へと繋げていったところがライブならではの魅力だ。
もちろん、ブラック・クロウズの楽曲もたまらないし、特にブラック・クロウズからは長く離れていたマークとリッチの掛け合いによるデュオ・ギターがあまりにも素晴らしかった。ある意味でこのバンドの肝でもあるし、エッジの利いたマークのギターとリッチのスライド・ギターが一体化していく演奏には恍惚とさせられる瞬間が何度もあった。
今回インタビューに応じてくれたリッチもよく語ってくれているが、この音は絶やしてはいけない、という意気込みをしびれるほどに感じるライブだった。(高見展)
※マグパイ・サルートの東京公演2日目は1月8日・大阪公演は9日に開催。詳細は以下の記事より。
<SET LIST>
1. High Water
2. Omission
3. Mary The Gypsy
4. For The Wind
5. Rollin’ Over (SMALL FACES)
6. Look Out Cleveland (THE BAND)
7. Old Lady Sunrise (MARC FORD & THE NEPTUNE BLUES CLUB)
8. What Is Home (THE BLACK CROWES)
9. Sister Moon
10. Cristine’s Tune (FLYING BURRITO BROTHERS)
11. Nonfiction (THE BLACK CROWES)
12.Take It All
13. Laila PT.ll (AGITATION FREE)
14. Can You See
15. Ballad In Urgency (THE BLACK CROWES)
16. Wiser Time (THE BLACK CROWES)
17. My Morning Song (THE BLACK CROWES)
18. Send Me An Omen