2/19(木)の限定特別上映が迫る、最新ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』。今、歴史の真実が明かされる

©︎Paul McCartney under exclusive licence to MPL Archive LLP. Photographer: Linda McCartney

ポール・マッカートニーのポスト・ザ・ビートルズ期を、ウィングスを軸に描いた話題の最新公式ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』(以下『MOTR』)。監督のモーガン・ネヴィルは『バックコーラスの歌姫たち』(2013)でアカデミーとグラミーをW受賞し、その後も数多くの音楽ドキュメンタリーを手掛けてきたベテラン。約10年にわたる波乱万丈な軌跡を、クリスプな音質×ホームムービーも含む膨大なアーカイブ映像/音声/画像(本作で初出の貴重なものも多数)でテンポよく見事に綴ってみせる。

画面にこそ登場しないが、ポール本人を筆頭に家族(メアリー&ステラ)、元メンバー(リンダ、デニー・レイン他)、そしてミック・ジャガー、ショーン・オノ・レノン、クリッシー・ハインドらも取材に応じており、当事者ならではの肉声や洞察に富んだコメントの数々でストーリーを膨らませてくれるのも嬉しい構成だ(これらのインタビューは昨年11月に海外出版されたポールとテッド・ウィドマーによるオーラル・ヒストリー本『Wings:The Story of a Band on the Run』にも活かされている)。

ウィングスと言えば、TV特番『Wings Over the World』(1979)やドキュメンタリー『Wingspan』(2001)も制作されてきた。1975―76年のツアー紀行である前者のライブ/内幕映像は『MOTR』にも登場するし、ポールが娘メアリーを相手に当時を振り返る内容の後者はリンダへの真心に満ちたトリビュートの色合いが濃い。しかし『MOTR』にはその後の歳月――『Wingspan』から数えても四半世紀が経過している――というアドバンテージがある。本作でもポール自身が「甥から『RAM』が大好きだと言われて驚いた」と語る場面があるように、リリース当時は酷評されがちだった「ザ・ビートルズ後」の彼の作品は2010年代前後を境に新たな世代の音楽ファンに発見され、手垢のつかない耳と感性を通して再解釈/評価されてきた。かつては誤解されることもあった、しかし今振り返れば「ラディカル過ぎた」ポールの動向をビューワーと共に検証する視座は本作の強いバックボーンだと思う。

ゆえに、『MOTR』は「ザ・ビートルズを失ったポールが妻と裸一貫でやり直し、大ヒットを飛ばし復活!」という美談/サクセスストーリーに終始してはいない。レッド・ツェッペリンの登場、不穏な政治/社会状況に反抗するロック、パンク~ニューウェイブの台頭……と、時代と音楽シーンの変化を随所に添えることで俯瞰的な文脈ももたらされ、相対的にウィングスがカッコ悪い存在になっていく様も伝わる。もちろん、幻に終わった80年のウィングス日本公演のカオスな顛末も描かれるし――同年末に起こった悲劇で本作は幕を閉じる。17~18歳頃からの全人生だったザ・ビートルズというくびきを離れ、「第二の人生」期に疾走した音楽の天才ポールがいかに人間として成長し、すさまじい荒波を家族や仲間と共に乗り越え、現在に至るキャリアの基盤を築いていったのか? その答えは、この映画の中にいくつも詰まっている。(坂本麻里子)




©︎Paul McCartney under exclusive licence to MPL Archive LLP. Photographer: Linda McCartney

『ポール・マッカートニー:マン・オン・ザ・ラン』(原題:Man on the Run)

2月19日(木)TOHOシネマズ シャンテほか全国の劇場にて一日限定特別上映
・劇場限定の特典として、ポール・マッカートニーとモーガン・ネヴィル監督による特別独占対談映像約11分を併映。
・来場者には、本作のアートワーク(リンダ・マッカートニー撮影)を使用した上映記念ポストカードを全劇場で配布。 *なお、数に限りがある場合がございます。なくなり次第終了となりますので、あらかじめご了承ください。

※ 2月22日(日)にTOHOシネマズ シャンテのみ、1回限りの追加上映が決定

監督|モーガン・ネヴィル
編集|アラン・ロウ
プロデューサー|モーガン・ネヴィル、クロエ・シモンズ、メーガン・ウォルシュ(Tremolo)、スコット・ロジャー、ベン・チャペル、(MPL)ミシェル・アンソニー、デヴィッド・ブラックマン(Polygram Entertainment)
エグゼクティブプロデューサー|ポール・マッカートニー、ケイトリン・ロジャース
制作|Tremolo, in association with MPL Communications and Polygram Entertainment

出演|ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー、メアリー・マッカートニー、ステラ・マッカートニー、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ザ・ビートルズ、デニー・レイン、デニー・セイウェル、スティーブ・ホリー、ローレンス・ジュバー、ウイングス、ショーン・オノ・レノン、ミック・ジャガー、クリッシー・ハインド 他(アーカイブ・フッテージ含む)

上映時間|本編約1時間55分+劇場独占特典映像約11分(予定)
鑑賞料金|3,200円(税込)
字幕|満仲由加
字幕監修|藤本国彦 / ピーター・ホンマ

◆日本公開オフィシャルサイト | https://www.culture-ville.jp/manontherun
著名人からのコメント第2弾を公開中

◆映画版 日本語字幕付きトレイラー |  https://youtu.be/e2aAAs7DcaM
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