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 それぞれソロ活動に励んでいたため、ユニットとしてのライヴは実に1年ぶりだというキリンジ。“あの世で罰を受けるほど”、“奴のシャツ”、“冠水橋”と完成度の高い爽快ポップ・ソングの連発でセットを開ける。堀込泰行の突き抜けたヴォーカル、堀込高樹の力強いギター、そして兄弟のハモリ、バンドの落ち着いた演奏は、まったくブランクを感じさせない。麗しいピアノのイントロが会場を温かく包む。名曲中の名曲“Drifter”だ。キリンジならではの洗練されたそのメロディが頭から離れない。そして今年リリースされた堀込兄のソロ・アルバム『HOME GROUND』からの“絶交”。それを堀込弟が歌っているのだからたまらない。最後は“You and Me”のゆったりとしたグルーヴでその短いセットは幕を閉じた。「冬なのに温かい」。彼らが言うとおり、すごくリラックスした気持ちいいライヴだった。




 とうとう来てしまった。最後のPENPALSのときが。本日のGALAXYのトリは、解散を表明した彼らにとってのラスト・ライヴ。でも、そんなセンチメンタルな空気を一掃するかのように、ビースティ・ボーイズの“サボタージュ”に乗って、4人のメンバーはひとりひとり堂々とステージに集結し、軽く会場を煽りながら “Astro Motel”“Cars”“70 times”“I Guess Everything Reminds You”と、デビュー・アルバムを1曲目から曲順どおり4連発になだれ込む。会場のヴォルテージはこの時点でオーバーロード状態。さらに“Right Now”、“I wanna Know”、“NO ROCK'N'ROLL RADIO”と3枚目からシンプルなシンガロング・パンク・ソング3連発という容赦のないPENPALSの攻撃は続く。でも、それこそファンがもっとも望んでいること。泣いてる場合じゃない。ラストだからこそ完全燃焼したいのだ。途中で2枚目『AMERICAMAN』のジャケットと同様、紅白ストライプのラガーシャツをまとって再び現れたメンバーたち。「思い出深い衣装だ」と林が訴え、彼らの快進撃は続く。ブレイクのキッカケとなった完璧なポップ・ソング“Tell Me Why”、シンプルにヘヴィな“A.F.O.K.”、疾走感がたまらない“Life on the Highway”、林の卓越した歌心が垣間見れる“Life on the way”。どの曲も素晴らしい。そして“More Fun?”の軽快なダンス・ビートで、ひとつとなった会場は最高な踊りをバンドにプレゼントする。ここで一旦メンバーはステージを去り、ビッグスクリーンには涙ぐむファンたちが映し出される。再び出てきたバンドは、時間が押すことを前もってあやまり、“君を見てた”、“Days Gone By”、“ラヴソング”と力強くラスト・スパート。そして最後。“All Fun Of Kids”。メンバーひとりひとりが交互に“Maybe I don’t care”を熱唱し、最後はバンドと会場が完全に一体になり最強の大団円を迎えそのヒストリーにピリオドを打った。文句なし、最高のラストだった。ありがとう。(内田亮)