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続いての登場は、3ピースギターロックバンド、てるる...。まずは、来年1月に発売されるミニアルバム『車輪』の表題曲“車輪”。轟音で掻き鳴らされるギターと、さらにそれを打ち消さんばかりのヴォーカル&ギター・渡辺の張り裂けそうな声にいきなり度肝を抜かれる。しかし、てるる...の魅力は、そんなハードなサウンドとは裏腹なその詞世界にある。道端に咲く花や夏に吹く風などのこまやかな風景描写から描き出される物語のような叙情性あふれる詩的世界、それを骨太なバンドサウンドで鳴らす。そのギャップこそがてるる...の魅力なのだが、今日は“車輪”“連弾”とハードな面をたたきつけ、中盤てるる...の詩的世界を堪能させる“大きな空の真下で”“白い少女はスキップを”と畳み掛ける完璧な構成を見せ付けた。そして最後、“人類への砲声”で一点を強く見つめ、血管ぶち切れそうな勢いで、声をかすれさせながらも張り上げ続けた渡辺の姿が、何よりも強く心に焼きついた。(西本佳奈恵)