メニュー
サウンドは異なるとはいえ、アグレシッヴなロック・バンドが続いたMOONステージ。sかし、自称“場末な歌謡曲”をひっさげたミドリカワ書房が会場のムードを一気に四畳半なものへと変える。特に「今日ボクはカウントダウン・ジャパンに出たけど……」という具合に、曲と曲の間にSEとして流れる、もう過ぎ去った今日の出来事を綴った日記(ようするに事前に録音されているもの)が印象的。そこで朗読される「ブサイクどもに幸あれ」とか「来年はタモリ倶楽部に出演したい」とか、ミドリカワ書房ならではのブラック・ユーモアが会場に笑いをもたらせると同時に、どこかちくりと痛い独特な緊張感をもたらせているのがとにかく絶妙である。さらに来年2月21日発売の新アルバムになんと劇団ひとりがナレーションで参加しているという、本日解禁となったビッグ・ニュースがアナウンスされたり、『家族ゲーム』ではインストとして収録されていた“母さん”がいわくつき歌詞ありバージョンで披露されたり、濃厚なセットは最後、「渾身のパーティ・キラー・チューン」こと“チューをしよう”を最後に投げキスの連発で幕を閉じた……と、思いきや、“笑って俺について来い”のサプライズ・アンコール。曲の前に発した「死ぬまでボクについてきてください。ぼくを信じても、損はさせないですよ」というMCは、決して伊達や粋狂で発しているもんじゃない。あっぱれ。(内田亮)