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monobrightとは正反対のベクトルで狂気を発散する男、ミドリカワ書房こと緑川伸一。浜田省吾“J.BOY”に乗って拳を突き上げながらステージに登場である。スタートは“保健室の先生”。うお、超ファンキー! 続いて日記調のナレーションからミドリカワイズムの傑作“顔”へ。それにしても、この歌詞と音のありえない組み合わせは何だ。こんな高性能グルーヴに乗せて《私整形手術がしたいの》とか歌っていいもんなのか。さらに畳み掛けるように披露された新曲“ごめんな”は息子がいじめに遭っていることを知った父親の歌だし。「今日はお祭りなんだからこんな暗い曲歌ったらダメだわ」ってもう遅いよミドリカワ! そう、MOON STAGEはすっかりミドリカワ書房の描き出す世界にどっぷりなのである。この正体不明の説得力が彼の歌の魅力。ほら、この世で最大の恐怖は女から嫌われることだというのがテーマの“わかった”では手拍子はおろかコール&レスポンスまで成立しちゃったじゃないか。孤高の天才というか発明家というか、こんなシンガーソングライターは世界にあなたひとりだけです。偉い。(小川智宏)