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MOON三番手はインスト・ロックの雄、LITE。「インスト」と一口に言っても、彼らの音楽はいわゆるジャム・セッション的だったりアンビエントだったりオーガニックだったりするものではなく、むしろ2本のギター、ベース、ドラムの研ぎ澄まされた音の粒子1つ1つを重ね合わせてロックの異空間を描き出すような、一大ロック・スペクタクルとでも言うべきものだ。「こんばんはLITEです」という静かな挨拶から一転、“Ef”の清冽な爆音が怒涛のようにフロアを満たしたり、“Human Gift”の9拍子のカオスが渦巻いたり……と、歌や言葉でオーディエンスに訴えかけるのとはまるで異なる、しかし明らかに雄弁でスケールの大きな音楽世界が広がっていく。「今ちょうど、でかいステージでPerfumeがやってるんですけど……物好きって多いもんですね! 俺だったら向こう行ってたかもしれない……ありがとうございます!」という武田(G)の声にも大歓声。そして、最後に披露した“Contemporary Disease”で目の前に現れた、リズムとアンサンブルの壮絶な幾何学模様! たった30分間でフェスの祝祭ムードをもあっさり塗り替えて、ロックという謎そのものを僕らに提示するような、驚異の音楽体験だった。(高橋智樹)