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3日目MOON STAGEの5番手を務めるのは、インストゥルメンタル・ロックバンドLITE。入念なサウンドチェックを終えて、まずは武田信幸(G)のギター・リフが暴れ回る“Ef”、そしてパーカッシヴな同期サウンドを張り巡らせた“Image Game”を立て続けにドロップ。鋭角なリフでガンガン攻めてくる武田、時折シンセを使ってサウンドに奥行きを加える楠本構造(G/Syn)、身を捩じらせながら獰猛なフレーズを片っ端からぶっ放す井澤惇(B)、大きく腕を振り上げ幾通りものリズム・パターンを緻密に刻んでいく山本晃紀(Dr)と、ひとりひとりのプレイを観ているだけで飽きないLITE。音をぶつけ合うのではなく、絡ませ合うことによって、恐ろしく複雑でスリリングな音世界を紡いでいく彼らが立っているのは、ロックの方法論を解体することによって生まれたポスト・ロックを、更に解体した「その先」の領域である。その場所で自由闊達に音と戯れる彼らの所作を片時たりとも見逃さんとばかりに、オーディエンスは食い入るようにステージを見つめている。そして、メジャー・コードの(彼らにとっては)異色曲“Rabbit”を経て、武田がMC。「どうもLITEです。この時間、裏(EARTH STAGE)で久保田利伸さんが愛を歌っているのに、ここに来てくれてどうもありがとう。ということは、みなさん愛を必要としてないってことですよね!?」と冗談を飛ばしてから、avengers in sci-fi、アチコ、シモリョー(the chef cooks me)をステージに招き入れ、9人編成となって“Pirates and Parakeets”を披露。マラカス、カウベル、タンバリン、コーラスと、音数が増え、更に重層的となった豪華なアンサンブルを真っ向から浴びて、もはや「踊るしかなくなった」様子のオーディエンスは、ゆらゆらと体を揺さぶり、ハンドクラップでサウンドに彩りを添えていく。そして拍手に見送られてゲストが去った後、“Infinite Mirror”“100 Million Rainbows”を叩きこみ、クライマックスまで鮮やかに駆け抜けていったLITEなのであった。(前島耕)