続いてCOSMO STAGEに登場するのは、還暦を迎えてもなお突き刺すような歌と言葉で世界と対峙しつづける日本のロック・レジェンド、遠藤ミチロウ! ドアーズの"ジ・エンド"にのって、ギター1本もって登場。ステージ中央につくと、まずは切れ味鋭いギターをジャッ!ジャッ!と発射。さらに「やりたいか/そんなにやりたいか」とシャウトすると、フロアに大きな戦慄が走る。"オデッセイ・1985・SEX"だ。放たれるギターの一音一音、発せられる言葉のひとつひとつが凄まじいエネルギー。恐らく遠藤ミチロウのライブを初めて観るオーディエンスも多いと思うが、ほとんどの人が電流に打たれたようにフロアに張りついている。「こないだ還暦になったばかりです。還暦になってSEXもクソもないんですけど。せっかくジジイになったんでジジイの唄を歌います」と続いたのは、荒涼とした大地をさすらうような唄が届けられる"Just Like a Boy"。さらに彼のキャリアの中でも特に異彩を放つ楽曲"お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました"へと突入すると、フロアの緊張感は最高潮に。過激で残酷でグロテスクでありながら、切ないほどのピュアさに満ちたこの曲を、魂を吐き出すように歌う遠藤ミチロウ、その鬼気迫るオーラが凄まじい。身動きひとつせずステージを見つめるフロアを見るにつけ、その歌の殺傷力の高さに改めて驚愕させられた。「どうしようもなかった2010年に捧げます。よいお年を」という挨拶に続いてラストを締め括ったのは、"天国の扉"。ギター1本と歌だけでフロアを完全掌握したステージに、遠藤ミチロウというアーティストの規格外なパワーを見せ付けられた30分だった。(齋藤美穂)
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