80年代にグリッター・ロックを日本に伝承するも、メジャー・デビューして、まもなく突然解散してしまった彼ら。しかし伝説はその後も衰えることなく、神の手に導かれるように実現した復活劇以降は着実な活動を見せている。キャリア的にはベテランの域に入りながらも、同時に今なお日本のロック・シーンにあって異端児であり続けるD'ERLANGER。そんな彼等が筋金入りのオルタナ精神を次なる世代に提示するべく、遂に幕張の地に登場した。言うまでも無く、事件である。
場内が暗転するや、和太鼓の乱れ打ちのようなオリエンタル・ビートのSEが延々鳴り響き、それがファンファーレに変わるや、雄々しく登場した4人。まずはインダストリアルなギター・リフが耳をつんざくナンバーでオーディエンスの度肝を抜くも、そんなのはまだ序の口で、その後間髪入れずに投入された楽曲達はいずれも、断末魔の如き絶叫と下半身に毒々しく響くグルーヴで、人間の闇と本性を容赦なくえぐり出す暗黒ロック。
MCで「短い時間だけど、ちょっと付き合ってもらえる? 腰振ってくれる?」と艶めかしい声で囁き、若いオ―ディエンスを禁断ゾーンへ拉致する意欲がマンマンなことを示すkyoだが、地声のクール&セクシーさと、金属的なシャウト・ヴォーカルの両方が今なお、往時と変わらない艶っぽさを放っているところがすごい。
フェス向けのポップな曲も何気に用意しつつ、しかし佇まいはあくまでも重く暗く猥雑な異端児であろうとした姿に、誇らしい感慨を抱いてしまったのは、僕だけではないと思う。(小池清彦)
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