1曲目は“霧のHighway”。アコースティック・ギターを柔らかにストロークしながら歌う岡林を中心に、バンドサウンドが伸びやかに広がっていく。程良く乾いたカントリー・テイストのサウンドが心地よい。昨日から考えていたというタイムリーなギャグ「どうも! 金正日です~」を放ってお客さん達を沸かせた後にスタートした2曲目は“ミッドナイト・トレイン。厚みのあるリズム隊を軸としつつ躍動するグルーヴが、フロアをゆっくりとした横揺れで包んだ。「私は今年の夏にフジ・ロックにも出ました。聞くところによると、同じ年にフジ・ロックとCOUNTDOWN JAPANに出た人は今までにいないそうです。いろんな原因がありますが、最大の理由は私の人徳ではないかと(笑)」。こんなMCを挟んで3曲目へ。ブルージーなエレキギターに彩られつつ、深みのある歌声を響かせた“今日をこえて”を演奏して再びMC。「今年もあっという間に過ぎてしましました。私の年齢になると1年が早い。お迎えも近いのかなと……謙遜ですけど(笑)。震災があって人生観が変わった人も多いのではないでしょうか。次に歌うのは30年も前に作ったラブソングです。震災を経て、この歌に新たな意味が生れたのではないかと思います」。そして披露されたのは“君に捧げるラブソング”。じっくりと語りかけるかのような岡林の歌声に聴き入りながら、お客さんそれぞれに2011年の出来事を振り返ったのではないだろうか。「わたしはエンヤトットバンドというのもやっています。では、メンバーを迎えて1曲やろうと思います」という呼び込みで新たなステージ・メンバーが登場。ギター、ベース、ドラム+三味線、尺八、和太鼓、パーカッションという独特な編成で演奏されたのは“乱の舟唄”。和テイストのリズムが刻まれるや否や、お客さん達は手拍子をしながら踊り始めた。「アホに成り切れば力も湧いてくる! そーりゃー!」という岡林の音頭によって、お客さん達の間から力強い「そーりゃー!」の掛け声が起こる様が痛快! 終盤では場内一丸の「そーりゃ!」の歌声がCOSMO STAGEを心地よく震わせていた。(田中大)
岡林信康 のCOUNTDOWN JAPANクイックレポートアーカイブ