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COUNTDOWN JAPAN 11/12、MOON STAGEの4日間も遂に大トリを迎える時間になってしまった。寂しさは募るが、ここに登場してくれるのは住所不定無職! サウンド・チェックを終えるや否や、メンバーのユリナは「幕張メッセに集まった中で一番ヘタなバンドです! 観に来いコノヤロー!!」とキュートな声で訴えていた。なぜその「自称・一番ヘタなバンド」が4日間の大トリにブッキングされているのか、その辺りを踏まえてぜひご覧頂きたい。“マジカルナイトロックンロールショー”でドカドカとドラムを引っ叩きながら思い切りの良い歌声を届けてくれるユリナ、ギターとベースのダブルネックを抱えてハーモニーを重ねるヨーコ、そしてセンターで「人」という文字がそのまま弦を掻き毟っているような、これがベストと言える姿勢でギターを弾くザ・ゾンビーズ子の、なんとカッコイイことよ。プレイ中の彼女は本当に素敵な顔をしているよなあ。皆さん、これがロックンロールというものです。“ラナラナラナ”“1.2.3!”“シャ!シャ!シャ!シャインアライト!”と、この上なくシンプルなロックンロールだけが次々に投下される。自分自身の快感原則を信じ切ると、ロックはこんなふうに眩しく響いたりします。「ハッピーニューイヤー! 私たちのヘタクソな演奏を聴きに来てくれてありがとう! 私たちのお年玉はまだまだ続く!」とユリナ。一方ヨーコは、「来年、じゃない今年の抱負は、練習して上手くなることです」と宣言する。なんか、上手くなって欲しくないなあ。そのヨーコの舌っ足らずなヴォーカル・ワークが映える“MAGIC IN A POP!!!”、ハーモニーが愛くるしい“キスキス”とプレイし、“恋のテレフォンナンバー!リンリンリンッ!”ではユリナとザ・ゾンビーズ子が曲の途中でパートを交代するというフリーダムぶり。どうです、ロックンロールは楽しいでしょう。そのままジェットコースターのようにポップなパンク・チューン“あ・い・つ・はファニーボーイ”へと突入していった。終盤は、ヨーコがトチりながら(いちいち曲紹介から仕切り直して)切ないメロディのバラード“あの娘のaiko”。そして清々しいまでにダイナミックに鳴らす“オケレケレペプー”。アンコールに応えて再登場するとユリナは「ロックンロールは告知なんかしねえんだよ! 気になる奴はホームページ見ろ!」と何を言っても許される声で喚き散らし、ザ・ゾンビーズ子のカッティングが決まりまくる“世界で一番ステキなGIRL”でフィニッシュ。ロックンロールの未来には希望しか感じられない、多くのオーディエンスがそう思ったはずのステージであった。(小池宏和)