メニュー


◆エレファントカシマシ (15:20 モビリタステージ)
ゲスト・アーティスト:Chara / 金原千恵子(violin) / 笠原あやの(Cello)

「じゃあ行くか、エビバデ」。髪をかきむしりながらそう宮本がつぶやき、“俺の道”からエレファントカシマシのステージは始まった。会場を指差したり、歩き回ったり、石くんのほっぺをつついたり、目をひんむいて「歩け、エビバデ」とお客さんに語りかけたりしながら歌う宮本の姿は、これぞエレカシ! 「友達に歌ってる歌なんです、聴いてくれ」という“達者であれよ”でスーツの上着を脱ぎ、2曲目にして白シャツ&パンツといういつものスタイルになった宮本は、成ちゃんのハットをかぶったり、さらにそれを石君にかぶらせたり、体を弓なりにしながら、全身を使って歌を表現していく。「すばらしい日々を夢見て歩いて行こうぜ。そういう歌です」という“悲しみの果て”も、最新シングルの“幸せよ、この指にとまれ”も、力強さに満ち満ちている。雄大な富士の景色に、エレカシのでっかい音楽が響き渡る様は、まさに壮快。オーディエンスも腕をあげたり、体を揺らしたりしながら思い思いに楽しんでいる。

4曲目にして、いよいよスペシャルセッションがスタート。昨年の武道館ライブでもエレカシと素晴らしいコラボレーションを見せた、ストリングス奏者の第一人者であるバイオリンの金原千恵子と、チェロの笠原あやのが登場。“リッスントゥザミュージック”で、最初はゆったりとストリングスが融合し、後半になるにつれ、バイオリンの弓の毛が切れていくのもおかまいなしに激しさを増していく。なんだかすごいものを目撃してしまった気分だ。

「お待たせしました。スペシャルなもうひとりのゲスト!」と登場したのは、金髪のボリューミーな頭に真っ青なアイメイク、そして白いワンピースをまとったChara! 可愛すぎる異星人のようなオーラに、パーッとステージが明るくなる。なんだか空もさっきより晴れてきたようだ。Charaに話しかける声がいつもより小さくなった宮本は、ちょっと緊張気味?と思ったが、YEN TOWN BANDの“Swallowtail Butterfly~あいのうた~”が始まったらなんのその。オリジナルの音程に合わせた高音でシャウトする宮本と、魂を搾り出すかのようなCharaのヴォーカルは、異種格闘技のようだ。

圧巻だったのは次の曲。エレカシの“それを愛と呼ぶとしよう”と、Charaの“エレガンス”をひとつにしてしまった楽曲が披露されたのだ。1コーラスごとに曲が入れ替わり、男心と女の子の気持ちがキャッチボールされるというスペシャルな曲が誕生した、ということだが、これを聴くことができるのはもちろん今日限り。しかも、“それを愛と呼ぶとしよう”をライブでやるのは初めてではなかったか。JAPAN JAM、やっぱり贅沢なフェスです。音楽の化身のようなふたりが同じステージに立ち、メインヴォーカルとバックコーラスという立場をくるくる変えながら歌うステージは、まさに圧巻。鳥肌が立つ。そして、“風に吹かれて”を一緒に歌って、Chara、金原、笠原はステージを去っていった。

続く“俺たちの明日”“今宵の月のように”は、前向きでまっすぐな歌を演出するかのように夕陽の光がメンバーの顔を照らす。その後、“笑顔の未来へ”で再び金原&笠原のストリングス・ゲストが登場し、“コール アンド レスポンス”ではCharaもステージへ。「ちょっと男くさい歌なんだけど、無理言ってたくさん歌ってもらうようにした。Charaの声にも注目」(宮本)、「無理矢理じゃないから大丈夫(笑)。楽しみ」(Chara)というやりとりもあったりしたのだが、確かにツインヴォーカルの「生命 死刑宣告さ」というフレーズは最高だった。ラスト・ナンバーは、バンドだけでかき鳴らした“待つ男”。「俺が一番面白かったかもしれません。サンキュー、エビバデ」と言いながらステージを去った宮本だったが、そういえばセッションの合間にこんなこともつぶやいていた。「生きててよかった」。オーディエンスも同じ感想を持ったに違いない。そんな唯一無二のパフォーマンスだった。(上田智子)

1 俺の道
2 達者であれよ
3 悲しみの果て
4 幸せよ、この指にとまれ
5 リッスントゥザミュージック w/金原千恵子、笠原あやの
6 Swallowtail Butterfly ~あいのうた w/Chara、金原千恵子、笠原あやの
7 それを愛と呼ぶとしよう/エレガンス w/Chara、金原千恵子、笠原あやの
8 風に吹かれて w/Chara、金原千恵子、笠原あやの
9 俺たちの明日
10 今宵の月のように
11 笑顔の未来へ w/金原千恵子、笠原あやの
12 FLYER
13 コール アンド レスポンス w/Chara、金原千恵子、笠原あやの
14 待つ男