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井戸(Vo/G)の「Yacht.はじめまーす!」という威勢のいい号令とともに“Steps”でスタート。ライヴにフォーカスした最新ミニ・アルバム『Willy Willy』で見せた新たな可能性は、明らかにこうしてフェスの場でパフォーマンスする際にもフィードバックされている。緩急を自在に操りつつ快楽指数の高いグルーヴを生み出すリズム隊に、ここぞというときにギアを入れ替えて突っ走るギター。そして井戸のクラウド操縦術も見事。彼の関西弁の一声で、WING TENTにグッド・ヴァイブがあふれ出す。ライヴを重ねてはぐくんだ自信が演奏に余裕を生み出しているのだろう。バンド自身もこの上なく楽しそうだ。メロディック・パンクにカテゴライズされることの多い彼らだが、じつのところその音楽性は驚くほど多彩で、リズミカルなロックンロールもあれば、性急なバックビートが高揚感を生み出すスカ・パンク・チューンもある。だから楽しみ方もこちらの自由、ステージの近くで拳を振り上げても、後ろのほうでのんびりと踊っても、同じように楽しめる。それがいまのYacht.のライヴだ。バンドとしての充実期にある彼らの、その充実ぶりが手に取るように伝わる、いいステージだった。(小川智宏)